見出し画像

ゆとり世代よりゆとりがない大人たち

「オイラたち芸人は、猿回しの猿なんだ。猿が人を噛んだら、猿が謝るんじゃない。猿回しをしてるやつが謝るんだ。芸人にこんな会見をさせちゃダメだよ。会見で泣いてたヤツの芸を見て誰が笑うんだよ。」

雨上がり決死隊の宮迫さんとロンドンブーツ1号2号の田村亮さんの謝罪会見を受けたビートたけしさんのコメントだ。

たしかに芸人さんというものは、基本的に人を笑わせてなんぼの世界である。そんな彼らがまったく笑いもなく、ただ謝り、泣いている映像が流れた。これまで十数年とお茶の間の人たちを笑わせてきた存在もひとつの問題であっけなく消えていこうとしている。

闇営業騒動の発覚から会見までの間で、きっと相当悩んでいたのだろう。会見をするにあたっての一悶着は話してをされていてわかったが、なによりそのやつれた表情から本人たちの辛さが伝わってきた。

よしもと興業という大きなブランド。ブランドがあることの安心感もあるかもしれないが、こうやってコントロールされてしまう苦しみもある。こうしなきゃいけない、こうじゃなきゃと。会社そのものの問題もあるが、世の中もどこか変わってきてしまっている。

ぼくがまだ10代の頃のお笑いは、ほんとくだらないことばかりしてたけど、それで良かった。家族や友達とお笑いについて語ったり、バカみたいに笑ったあの日が懐かしい。

「(芸人が)品行方正なタレントがいいのかっていうと、最近つまんねぇって平気で言うじゃない。危険度がないとか。じゃ、どっちがいいんだ。」

こちらもビートたけしさんのコメントだが、コンプライアンスだなんだと言っていたら、表現の幅は制限される。同調圧力も強い日本は、みんな面白いものを求めるのに、ちょっとダメなことはみんなで徹底的に糾弾する。自分のしてることはすべて棚にあげて。

振り返ると、ゆとり世代を作った大人たちが一番ゆとりがないのかもしれない。そう思った。

おしまい

いいなと思ったら応援しよう!