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シャニマスのイベントシナリオで好きな「入り」はどれですか?

2022年5月現在、アイドルマスターシャイニカラーズには
48のイベントシナリオが存在している。
全て読了している方から、拾い読みしている程度の方までいると思うが
ひとたび読み始めてこのように思ったことはないだろうか。

「劇場版始まったな……」

オート再生で終わりまで通し読みすると基本60分程度のボリューム感。
その間にいろんなことがある。しかしここでは割愛する。
「入り」の空気感が既に劇場版すぎてテンション上がるという話をしたい。

まず、特にわかりやすい例を挙げてみる。

アイムベリーベリーソーリー  OP「ふってきたんだ」

劇場版だ……!!!!
このオープニング、正確には「波の音」「カモメの声」が入ってから
真乃のモノローグに繋がる。
音で「海」、背景絵で「晴れた空」、フィルターで「距離」を想起させ、
最初のセリフはどこか曖昧で、抑揚の控えめな語り口。
やった!劇場版だ!!こういうの好き!!!

次に、こういうのもある。

くもりガラスの銀曜日 OP「雨粒のインク」

部屋の天井。カチャカチャ、というタイピング音。
そこから広い画へ切り替わってからの、セリフは「ん……?」の一言。
こういう劇場版も……ある!!!

このように、「入り」にはいくつか傾向があるので
ここからは最初のセリフのパターン別で紹介していきたい。
なお、各話開始から2つ目のテキストボックスまでという基準でまとめた。


1. 王道? 会話の始めor途中から入るパターン

キャラクター物のシナリオといえば基本これ、というような感じがする。
会話が始まるきっかけか、切りの良いタイミングを切り取ったところから
台詞がスタートしていくパターン。
この中から劇場版っぽい感じがするものを紹介する前に
参考までに王道中の王道パターン(私見)からご覧いただきたい。

Light up the illumination OP「輝きの始まり」

お、王道……! とにかく滑り出しから話が早い。
最初のユニットイベントということもあってかシンプルだが、
「大事な話」に反応して三人の表情がキリッとするのが良い。
(灯織は最初からキリッとしてるけど地味に居住まいを正している)


ここからは個人的に劇場版演出を感じたものを紹介していきたい。

きよしこの夜、プレゼン・フォー・ユー! OP「13:15 PM」

ノイズ音に続き、通信を行うめぐるの声。
画面はすぐに暗転、からの流れ出す「きよしこの夜」、登場する天井社長。
暗いところでなんか言っとる……
先ほどの初イベントと比べると情報量がめちゃくちゃ少ない。
少ないからこそミステリアスで心惹かれる導入。これは劇場版……!


薄桃色にこんがらがって OP「予感」

とあるオーディションに備える甘奈の場面から。
やってることも画面もシンプルに見えるけれど、
最初は甜花の台詞なのに画面に甜花が映っていないのが地味に効いていて、
いつもとちょっと違う視点から見ている感じがする。


天塵 OP「ハウ・スーン・イズ・ナ→ウ」

過去……!それだけで シネマティックがすぎる……!
最初の小糸のセリフだけではやや分かりづらいが、
小学生の頃の会話から始まるノクチルの初回イベント。
BGMは車で移動中の時に聞こえる音。移動中っていうのもシネマティック。


2.なんかポエミーなモノローグから入るパターン

このnoteの冒頭で例を挙げたようなパターン。
意味深にボソボソ喋り出す映画ってめちゃくちゃあるよね……
個人的にはこれが「いかにも」なのでテンションがブチ上がる。

Catch the shiny tail OP「見えない、ヒカリの先」

このパターンはイルミネの2回目のイベントが初出。
名前の表示がないが、声は真乃。
実際には言葉になりきっていない心模様を表現しているのだろうか。
何を画面に映さないかで表現する工夫もこの辺りから顕著に見られる。


サマー・ミーツ・ワンダーランド OP「朝の物語」

はじまった、「シャニマスえほん」が…….
風の音と星空から始まる話。いきなり没入感MAX。
画像だけだと本当にどこにもキャラがいないが、
最初のセリフは霧子で、その次が灯織。


流れ星が消えるまでのジャーニー OP「夜が来るよ、ジュメル」

めちゃくちゃ好き。完全にジャーニー始まってる。
セリフは甘奈と甜花、二人の声。もう「ふたごの話」が来るのが分かる。
タイトルの「ジュメル」も仏語で(女の子の)「ふたご」。
描かれてないのに幼少期の二人の姿がもう見えてる。
過去はもうそれだけで劇場版。


OO-ct. __ノー・カラット OP「I」

静かなピアノの旋律から、にちかのモノローグへ。
感情を抑えた喋り方が劇場版っぽいぞ!にちか!!
ピアノの音がある方が無音よりも静かな雰囲気になる不思議。
一言放り出されたワードのチョイスでシナリオの色がなんとなく分かる。


はこぶものたち OP「漕ぐ人」

スタジアムの歓声が遠ざかり、何かに想いを馳せる様子の灯織の独白へ。
この遠きものを想う感じ、良い感じに曖昧で意味深。
こういう距離感ってやっぱ劇場版、ですよね?


3.めちゃくちゃ何気ない一言から入るパターン

ポエムパターンと同じく「ひとり」にフォーカスされた状態から始まる。
なんらかのさりげない動作が起点になっていることが多く、
描写に「生」が溢れがちなのがポイント。もっとやってほしい。

アジェンダ283 OP「基本的なスタンスについて」

開幕早々、扇風機の前で宇宙人になり始めそうな透の声。
最高に何気ない夏の話の始まりである。
透の声はしているが、立ち絵は無く映っているのは背景の事務所倉庫だけ。
描かれてなくてもカメラの画角で透の姿を想像してしまう。


many screens OP「入室者」

WEBカメラ越しの樹里からの印象的な導入。なんかもうめちゃくちゃ邦画。
最初のシステム音も効いていて臨場感がすごい。
「みんな集まったな!」みたいな分かりやすいところから始めないのが
つくづく良い。画面の奥で樹里が呼吸している事実が大切にされている。
寮住みなのに調度品の存在感がエグい凛世の自室が背景なので、
二人一緒にいるじゃ〜ん、とすぐ思えるところも嬉しい。


#283をひろげよう OP「PROJECT」

街を一人で歩いている雛菜の視点から。
空が映されていることから、視線は見上げる方向だと想像される。
画面の動きに制限がある中、「何かが目に入る」描写がめちゃくちゃ自然。
あと「アンティーカだ」「アンティーカの看板」「アンティーカがいる」
のような表現になっていないあたりが絶妙に生っぽい。
まだほとんど何も言ってないのに、越境イベントの醍醐味が詰まっていて
とりあえず嬉しくなる。


4.モブの台詞から入るパターン

人間と世界を描くことに並々ならない執着を感じるシャニマスにおいて
最近のイベント、というかコミュ全体で増えてきている気がするパターン。
単純に登場人物が多いとスケール感が出るので
セリフの内容問わず劇場版っぽさは感じられる気がする。

完録、クエストロメリア! 〜サイコロ編〜 OP「サイコロツアー、スタート!」

アルストロメリアの2回目のイベントで初出。
のっけからカメラのバッテリーの残量が気になるが、気にしてはいけない。


海に出るつもりじゃなかったし OP「ノロマたちの午後」

何かがはためく音、鳥の声。そして冒頭のセリフ。
そこに透の寝息が続き、彼女が夢の中にいることが示唆される。
夢で謎の声聞くのってめちゃくちゃ劇場版じゃん……!


アンカーボルトソング OP「雨の中のあたたかい錆のにおい」

雨音と傘を開くような音の後に、警備員のセリフから。
セピア調ということは……過去を振り返っている……!?
そう思うと「ヒール気を付けて」とかなんか初期っぽい発言……!?
絶妙に全貌が見えない感じがワクワクする。


YOUR/MY Love letter OP「I am.」

やってくれましたよマジで。
なんか手書きの文字出てきたし。もはやモブの台詞からとかじゃなくて
オープニング一本まるごとモブ視点でモブ中心の話だった。
え?そもそも、モブという表現が不適当……?
というあたりのテーマが冒頭の言葉に集約されているのが分かってくる。
人間と世界を描くことへの執着という点で、今のところの集大成。


モノラル・ダイアローグス OP「赤い休符」

最新イベントは胃痛のしそうな通話音声からのスタート。
283プロダクションにマネージャーなんていないので、
誰の話かと思えば浮かび上がる人物は一人しかいない。


5.しばらく全然喋り出さないパターン

場面転換の鬼、シャニマスの真骨頂。
テキストが現れるまでに背景が次々と出てきて、
アニメーションばりに「動き」を表現してくる。
数は少ないが、その分印象的なパターン。

階段の先の君へ OP「拝啓、階段の先の君へ」

どんだけ〜〜〜〜〜〜〜!!!
夕焼け色に染まった町並みを行く自転車、の様子を背景と音だけで描写。
もう時間帯がずるい。情感が半端ない。
場面が移り変わる中、ゆっくりとしたタイヤの回転音がしばらく続く。
事務所前で自転車の音から二人分の足音に切り替わり、
ドアを開けた樹里が挨拶の言葉を発しようとしたところで、ようやく台詞。
盛りだくさんである。ここだけで既に好き。


明るい部屋 OP「夜をこえて」

ど、どんだけ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!
引っ張った上に喋り出したのが名もなき人たち×2?

最初はクリスマスキャロルと共に夜の町並みが映し出され、
場面がスーパーの店内に変わると、生活感溢れる忙しい雰囲気に。
ラジオの音が聞こえるのは店内バックヤードの事務所スペース。
この後はバリバリに労働するはづきの姿がやけにリアルな描写で描かれる。
この世界に、はづきが、アイドル達が生きている————


おわり

これをまとめるために全イベントの冒頭部分を見返したが、
改めて感じたのは背景絵の強さだった。
「階段の先の君へ」でお分かりいただけたかと思うが
夕景のパターンだけでも豊富で、これと音声だけで場面が保てるのが強い。

動きに制限がある中、材料をフル活用した表現によって
我々は見えないものを見させられている気がする……

とにかく今後とも目をかっ開いて読んでいきたい。


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