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マスト細胞活性化と化学物質不耐性の関連
Environmental Sciences Europe から、「マスト細胞活性化は多くの化学物質不耐性の状態を説明し得ると推定される」ことに関する下記の論文が出されています。
本論文に関して、翻訳や解釈が論文原文と異なるところは、論文原文に従うものとします。
Mast cell activation may explain many cases of chemical intolerance
Claudia S. Miller1, Raymond F. Palmer1* , Tania T. Dempsey2, Nicholas A. Ashford3 and Lawrence B. Afrin2
Published: 17 November 2021
https://enveurope.springeropen.com/articles/10.1186/s12302-021-00570-3
本論文の研究は、化学物質不耐性 “chemical intolerance (CI) “ と マスト細胞活性化症候群 “mast cell activation syndrome (MCAS)” の関係について、QEESIを利用して比較しています。
QEESI (Quick Environmental Exposure and Sensitivity Inventory)は、米国で開発され、化学物質過敏症の診断に有効であるとされ、日本での化学物質過敏症の診断にも利用されてきました。
本論文において、化学物質過敏症と化学物質不耐性は、研究上、異なる病態と考察されていますが、本論文の研究方法にQEESIを利用するなど、化学物質過敏症との関連性が勘案されます。
本論文で、マスト細胞活性化症候群(MCAS)の半数以上が、QEESIによる化学物質不耐症(CI)の基準を満たしたという結果が上がっています。
本論文より、マスト細胞活性化症候群(MCAS)と化学物質不耐症(CI)には、関連があると示唆される一方で、関連性は、原因の証明にはならないとも示唆されています。
下記、論文概要からの翻訳になります。
概要
背景
本論文では、化学物質不耐症(CI)とマスト細胞活性化症候群(MCAS)の関係について検討する。世界的な観察から、化学物質不耐性のメカニズムとして、毒性誘因耐性消失(toxicant-induced loss of tolerance /TILT)と呼ばれる2段階の疾患プロセスがあるという証明が提示されている。TILTは、主要な曝露または一連の低レベルの曝露によって始まる。その後、罹患者は、一般的な化学物質の吸入、食品、薬物(すなわち、様々な生体異物)に多系統の症状を引き起こすと報告されている。
方法
QEESIを用いて、MCASと診断された患者(n = 147)と、様々な曝露の後に化学物質不耐性を報告した人(n = 345)および健常対照者(n = 76)とを比較検討した。分散分析(ANOVA)を用いて、グループ間でQEESIスコアを比較した。
結果
マスト細胞活性化症候群(MCAS)の半数以上(59%)が化学物質不耐症(CI)の基準を満たした。
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