脳脊髄液減少症と化学物質過敏症の関連
注釈
脳脊髄液減少症と化学物質過敏症
脳脊髄液減少症と化学物質過敏症及び食物や薬への不耐性に関連が見られるという論文が提出されています。
本論文に関して、翻訳や解釈が論文原文と異なるところは、論文原文に従うものとします。
化学物質過敏症の中でも食物や薬への不耐性に関して論じている論文が少ない中で、一定のエビデンスに繋がり得る可能性があります。
脳脊髄液というのは少なくとも多くとも良くなく、滞りなく循環されていないとさまざまな症状に繋がることが判ってきています。身体のさまざまな部分の中枢と言われていますが、調べれば調べるほどにたくさんの器官に影響を与えています。
脳脊髄液減少症は、ブラッドパッチで脊髄液の漏洩を塞ぐことで劇的な症状の改善に至った症例もあります。一方で漏洩箇所の特定が難しい場合も多く、完全に改善する症例はまだ多くはないようです。
脊髄周辺における免疫細胞が、さまざまな不耐性に影響を及ぼしている可能性もあるかもしれません。
以下論文より引用
「薬剤師から見た脳脊髄液減少症の感覚・免疫過敏症―4つの中核症状に関する221例の検討―」
中里 直美, 北條 祥子, 菅野 洋, 鈴木 高弘, 平井 利明, 横田 俊平, 黒岩 義之
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ans/59/1/59_132/_article/-char/ja/
11.脳脊髄液減少症に伴う免疫過敏症状,食品や薬 への不耐性
脳脊髄液減少症患者のアレルギー罹患率は,花粉症 67%,次いで食品 ・ 医薬品過敏反応 42%,アトピー性皮 膚炎 20%,気管支喘息 15%であり,一般人の罹患率より 高い
脳脊髄液減少症を発症してからアレルギー疾患に 罹患した,またはひどくなったという患者が少なくない
総じて食品アレルギーと言うより,食べられないものが増えていく人が多いという印象がある
脳脊髄液減少症 の患者程,説明が難しい不可解な薬剤不耐性を訴えた人はあまり経験がない
12.脳脊髄液減少症と化学物質過敏症の関係
一般的な化学物質過敏症は何らかの環境要因の曝露により発症することが多いが,脳脊髄液減少症患者の化学物質過敏反応についてはトリガーとなる環境要因が特定できない場合がほとんどである
脳脊髄 液減少症の発症トリガー因子(交通事故,その他の事故) のイベントから経時的に追うと,重症な化学物質過敏反応 の頻度が増加することが確認できる
脳脊 髄液減少症を特徴づける臨床像は 4 つの中核症状(自律神 経症状,情動・認知症状,疼痛・感覚過敏症状,免疫過敏 症状)が個々の患者で重層的に起こることである.脳脊髄 液減少症には性差があり,女性の方が男性よりも各症状の出現頻度や重症度が高い.環境ストレスには物理的感覚ス トレス,化学的感覚ストレス,免疫・凝固系ストレス,心 理社会的ストレス,内部環境ストレスがあるが,脳脊髄液 減少症は環境ストレスに対して生体が過敏症(ストレス感 覚入力系の過敏状態)や不耐症(ストレス反応出力系の 不全状態)46)を呈する
脳脊髄液減少症と筋 痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ICD11 コードで 8E49), 線維筋痛症(ICD11 コードで H01636),化学物質過敏症(ICD11 コードで 4A8Z)
*第73回日本自律神経学会総会/シンポジウム6/脳脊髄液と自律神経: 138-139, 149, 2022