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フランス王国アンシァン・レジーム期についての小察。―《山川, フランス史2, 第一章, 服部春彦氏》を読む。その二…。―
この記事では、太陽王ルイ 14 世の時代を中心に、旧体制(ancien régime )をみていこうとおもいます…。要約・引用は、―その一…。―とおなじく、山川出版社 世界歴史体系フランス史2, 第一章, 服部春彦氏より…。
宰相コルベールが就任した時点で、フランス王国は 17 世紀の危機にあえいでいました。コルベールは、その手腕をふるい、危機に対応しなければなりません。ルイ 14 世の信頼のあついコルベールは、危機を乗り切るために、いくつかの方法をとります…。
この時期の重要人物、コルベールのイメージをみましょう…。
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ジャン=バティスト・コルベール - Wikipedia というのをみればあきらかなのですが、財務総監時代に、早朝 5:30 から起床し勤勉かつ貪欲に業務をこなし、「大理石の人」とよばれたそうです…。コルベルティズムともよばれる彼の一連の施策の中で、たしかに、17 世紀の危機は克服しましたが、服部春彦氏 【服部春彦 - Wikipedia 】の記述によると、彼の業績が華々しいのにもかかわらず、ブルボン朝が断絶においこまれた経緯は、その後の状況を判断しなければ把握できないといったところです。人口問題・財政問題などで優秀な結果をもたらしたコルベルティズムのあと、ブルボン朝がふたたび足場をくずす理由は、服部氏の以下の記述要約・引用にて、こまかいところが描写されております…。
フランスにおけるアンシァン・レジーム期に
ついての考察…。(その二)
17 世紀の危機の中で、フランスが農業・手工業ともに不振に落ち込み、人口減少も生じていた時代、ルイ14世の宰相コルベールは、その地位につきました。コルベールは外国の工業製品、とりわけ毛織物にたいする輸入関税の大幅な引き上げをつうじて、国内市場を自国の製品のために確保すると同時に、国家の強力な介入によってフランスの工業生産と貿易のすみやかな回復とあらたな発展を実現しようとしました…。(引用:世界歴史体系フランス史2 山川出版社 1996, 第一章 アンシァン・レジームの経済と社会…服部春彦氏…)
コルベールの工業育成政策の基軸をなしたのは、特権マニュファクチュア制であり、絶対王政の軍事力を支える鉱山・精錬業と武器の製造、つづれ織、レース、錦、ヴェネツィア風ガラスなど奢侈品の生産、そしてとりわけ上質毛織物工業の振興を目的として、国家の資金援助と独占付与による特権企業がつぎつぎに設立されました。また、コルベールは産業規制の再編強化もおこない、1669 年、都市ギルドの規約をもとに毛織物や絹織物の製造にかんする詳細な法規を定め、特権企業以外の一般の生産者にも遵守させることによって、フランス製品の品質向上と規格統一を推し進めようとしました。
17 世紀前半に建設された北アメリカ、西インド、西アフリカの各植民地は、1660 年代以降コルベールの貿易・植民政策に援護されてあらたな発展を遂げることになります。西インド諸島では、植民開始以来タバコ、砂糖、カカオ、綿花などの輸出用熱帯用品の生産がおこなわれていましたが、1650 年代から奴隷制プランテーション方式による砂糖の生産がめざましく発展しました。コルベールはこのフランス本土-西インド間貿易からオランダ人など外国人を排除し、フランス人による植民地貿易独占体制(いわゆる排他体制)を樹立しようとしましたが、1683 年までにほぼ達成され、毎年 200 隻をこえるフランスの貿易船が本国のおもだった港から西インドへおもむくようになりました。
西インドは 17 世紀末まで、オランダ人など外国商人による奴隷貿易におおきく依存しなければなりませんでした。しかし、1670 年代以降アフリカ西海岸においてあらたな貿易拠点を獲得しつつ、西インド植民地にたいして年平均 2000 人近い奴隷を供給するようになりました…。
ここのあたりから、すこしずつ、コルベルティズムの限界がみえてくるかとおもいますので、服部氏の記述でもあり、以下、有料エリアとさせていただきます…。そもそもコルベールその人が、1683 年 9 月 6 日が、死去した日ですので、この後の状況もふまえての、考察にはなります…。
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