あのたび -カンボジアのベンメリア遺跡-
前日のバス移動で悪くなった体調は、1日寝ても回復しなかった。カンボジアでも水は買っていたのだがその水が合わないのではないだろうか。この国ではどこでも見る通常の透明のペットボトルとは違い、白いボトルで表面がサラサラとしていて持ちにくい。この水を飲んでいる限り毎日が腹痛で下痢気味だった。
しかし日中は35℃近く暑いので何も飲まないというわけにもいかず、フルーツジュースやシェイクを飲むことにした。
タケオゲストハウスにはたくさんの日本人旅行者が泊まっていく。入り口近くに開放的なロビーがあり日本のマンガや小説がたくさん置いてある。読み終わった本を旅行者が置いていったりしてたまっていくのだそうだ。
そのロビーでいろんな旅行者と話すのが楽しい。中学校の国語と社会の先生だという男性は、夏休みや春休みを利用してそのたびに世界各地を旅行しているという。たいくつな授業でも先生のナマの体験談は、子どもたちは真剣に食い入るように聞いてくれるという。いい先生だ。
結局ボクは、その日も観光せず、夜は屋台の焼きそばを食べロビーのマンガを読んで寝た。
ずっと寝ているのも後ろめたいので遺跡のチケット3日券(40$)を購入して、翌日から頑張って観光しまくることにした。世界の観光施設は1回いくらで入場というシステムだが、このアンコールワット遺跡群は広くて数が膨大なので、1日券から1週間券まで販売している。確かに1日では見切れない。
1日6$でバイクタクシーをお願いする。まず朝早く起こされて、アンコールワットの日の出を見る。遺跡の形が象徴的でさすが世界遺産という見た目である。朝ごはんで一度宿に戻る。宿のロビーでベンメリアという遺跡がスゴイらしいと話題となる。
ベンメリア遺跡は街から80kmと遠く、ミニバンを1台借りていくことになる。人数を多く集めるほど安くなるということで、宿泊者やその他出会った旅人などを誘ったら総勢12名も集まった。1人8$くらいで済ますことができた。
このベンメリア遺跡は、天空の城ラピュタの元となったといわれるくらい幻想的な雰囲気だという。崩れかけた遺跡に生い茂る森の様子が、日本人の心に響く。
瓦礫の上を歩き回ることになるのでサンダルはやめたほうがよく、しっかりした靴がいい。
結論として、行った人全員が全員、来てよかったという遺跡ツアーであった。少年の頃に戻って探検した気分になれた。
今風に言うとフォトジェニックでインスタ映えする写真が撮りまくれる遺跡である。時間が許すのであれば是非1日かけて行くことをオススメする。
宿に戻り、今度はバイヨンとサンセットの組み合わせを見る。大満足。
バイクタクシーはこの国の若者の重要な稼ぎ手段である。2003年当時は1日6$だかで指定の場所に行ってくれる。その仕事をするために500$とか1000$でバイクを買う必要がある。さらに英語と日本語も勉強する。稼ぐために彼らは相当頑張っている。
1つの遺跡にかかる時間は旅行者によってさまざまだ。10分で見ようと、数時間で回ろうと、バイタクの彼は遺跡の近くで停めてじっと待っていてくれる。そして遺跡から出てきたところを見つけて手を上げてくれる。一期一会の出会いなのにちゃんと顔を覚えていてくれるのだ。
そして次はどこへ行くんだ? 明日も俺を雇ってくれなどという。彼らの頑張りに、路上のジュースなど買ってあげたくなる。
(つづく)
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