あのたび -深夜特急と旅ルート-
中国からベトナム、カンボジア、ラオス、タイと移動してきて、今後どういうルートに進もうかと考えなければならない時が迫っている。お金はまだある。でもどうしても、時間をお金で買う飛行機には乗りたくない気がしていた。
憧れているのは、沢木耕太郎の深夜特急のルート。多くの一人旅の者に人気がある王道だ。インドから陸路だけでロンドンまで。想像するだけでワクワクする。1巻はまだ香港・マカオ編。沢木は飛行機でインドへ飛んだ
けれどもタイからインドへ行くには、間にミャンマーとバングラデシュという国がある。問題はミャンマーがいまだ軍事政権で、外国人は飛行機での入国しか認めていないことだ。つまり陸路でインドへ行こうとするなら、北上してチベットへ行き、シルクロード途中から南下しヒマラヤ辺りの高地を越えるという、考えるだけでもしんどそうなルートを通らなければならない。
だったらバンコクからインドへ飛ぶか。そっちの方が楽だ。
いろいろな旅行者に話を聞き、結局はおよそだれも選択しないであろう、タイからマレーシア、インドネシアへ陸路・海路で南下することにした。飛行機なしでどこまで行けるかという道を選ぶことにした。
パイの水曜市は意外に大きい規模であった。豆腐10Bアイスキャンディ2Bはシンプルで良き。ゆっくりと静養していたためようやくラオスでのバイク事故で怪我した右手と左足が完治したようだ。傷跡は紫色の今でも残っているが。
カレーを食べようと注文したら、スープライスになってしまった。言葉が通じないのであれが食べたいと言うのだけど、なにか違うのが出てくるということはままあった。お店のテレビでチャンピオンズリーグを中継していた。前半1対1の良い試合でこれからというところでお店が閉店し追い出されてしまった。
パイに長くいたくはあったが、タイのビザは30日のみ。ビザが切れる前にマレーシアまでたどりつかなければならない。ということで翌朝にはパイからメーホンソンへ移動した。バスで52B
メーホンソンは日本でもある程度有名な首長族がいる所だ。毎年、歳を取るたびに首に輪っか状のネックレスを1個はめ、はずすことはない。なので大人になるほど首が長くなるという不思議な習慣のある民族だ。
しかし町でその首長族ツアーの代金を聞くと850B(≒2500円)と高価で辞めた。ラオスでもアカ族を見に行ったが良い思い出がない。だいたい珍しい民族を見に行って満足するというのは高慢だよな。逆の立場になって毎日外国人が自分の家を覗きに来て写真を撮って帰るというのは耐えられないよ。
高台に登り付近の景色を一望して終わりにした。
マレーシア・インドネシアと同じルートを行こうとしている旅人がいた。彼は仕事が大好きでずっと働いていたが趣味が何も無いことに焦り、会社を辞めてオーストラリアにワーホリ1年間。それからインドにまず行き、アジアを一周しているとか。それから2度会うことはなかったが彼はどうしているだろうか。
夜はうまいとろとろ肉めし屋20B。宿は夜でも暑いJonyHouseに80Bで泊まる。明日はメーソットに行こう。
(つづく)
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