あのたび -彼の旅を辞める理由-
パンガンダランの自然を堪能したのち、ジョグジャカルタへ向かいたかったのだが直通はないと言う。マイナーな土地へくるとそこからの移動がしんどい。結局バスを4つ乗り継がなければならなかった。聞いたこともない地名を経由してよくたどり着いたなと思う。
パンガンダラン ⇒ カリプチャン 3000Rp
⇒ チラチャップ 12000Rp
⇒ ジョグジャカルタ 15000Rp
⇒ ソスロ地区 1000Rp
ジョグジャカルタは京都のような古都と聞いていたが、どちらかというと大学生が多い学生街で町並みは他のインドネシアの都市と変わらない。夜は通りを歩きナシグデを食べる。めちゃくちゃ辛かった! 5000Rp
路上に弾き語りがいたので50Rpコインをあげようとしたら、めちゃくちゃ怒られて拒否された。なぜだろうか? 投げ銭もらうためにやっていなかったてことか、それとも50Rpコインという使えないほど安い小銭に怒ったのかもしれない。
クラトンという王宮を見学2000Rp。中は日陰でひんやり涼しくジャワ音楽を生演奏していてまったりできた。
うろうろしているボクがカモに見えたのだろうか、インドネシアの青年がバティック売り場へ連れていってくれるという。バティックとは伝統的なカラフルなデザインの布製品。確かに良いものなのだろうが、長い旅のボクには荷物になるので必要ない。いらないいらないというが彼もひかない。じゃあいくらならいいんだ?などと聞いてくる。断り続けるのだが、あきらめない彼にめんどくさくなり結局10万Rp(≒1400円)で買わされてしまった。
このあたりのバティック工房はかなり売り込みがしつこいので立ち寄る方は注意されたし。しかしその数日後、山へ登ることになり寒さしのぎのそのバティックが役に立った。
バンドゥンですれ違った日本人青年と再び会う。彼はボクよりも長くインドネシアを旅行している。現地の人の噂でちょっと北へ歩いたところでガムランフェスがあるよと聞いたので二人で探し歩く。が見つからなかった。
ガムランとはインドネシアの伝統的打楽器で、それに合わせて踊る舞踊が有名だという。歩き疲れて帰った宿で二人で缶ビールを飲んだ。
日本人の彼は「今年阪神が優勝するみたいです」と言った。
長い旅に出ている旅行者には、日本の野球なんかどうでもいいことだと思っていた。だが関西人の彼は「これを見逃すと二度と阪神の優勝を見ることができないかもしれないので日本に帰ろうかと考えてます」と言う。
旅を始める理由も自由なら、旅を辞める理由も自由だろう。まだ何も掴んでいないボクは帰る理由がない。
その年2003年、阪神は18年ぶりにリーグ優勝した。
(つづく)
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