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あのたび -デリとのチェス勝負-

 マカッサル(makassar)のBANK CICで両替をする。100円=7200Rpで1万円分両替。20年前の当時は10000Rpがだいたい140円くらいだ。現在は10000Rp≒100円なので当時よりはレートが良い。

 マカッサルは港に船が多く立ち寄る大きい街であるが、夕方から歩くと海岸沿いにビーチはなし、屋台も無しだった。ドミトリーのベッドはエアコンなく蒸し暑く寝苦しかった。さらに雨。翌日の昼も雨。食べかけの菓子には蟻がたかりおじゃん。

 夜、食事に外へ出るが道路の水はけが悪く泥道。サンダルが泥を跳ねて足元やスボンやTシャツも汚れる。旅行中の雨はホント萎える。

 隣のベッドの彼はアメリカ出身の青年。名前はデリ。カタコトの英語で話すともう5年も世界を旅しているのだという。それくらい長く旅していると、相手の英語力に合わせて話してくれるので非常にゆっくりで優しい単語でボクでも理解できるような会話をしてくれて助かる。
 スラウェシ島に来る旅行者はほとんどいない。彼とはたびたび会うことになった。

 翌日は一転して晴れ。デリとチェスを2回勝負をして負け。インドネシアはチェス大国でありかつて世界チャンピオンも輩出している。だいたいどこの家にもチェス盤が置いてあり路上や公園の机の天板にマス目が描かれているというのもよく見かける。

 日本では子供の頃将棋を指していたので、チェスもそこそこ戦えると思ったが全く歯が立たなかった。ここで初めてキャスリングという特殊ルールを知った。1手でルークとキングのいる位置を交換することができるのだ。
 え?ずるいなにそれ?が素直な感想だ。いきなりキングが角にワープして逃げるからだ。慣れていないボクはキャスリングを使いこなせないし、デリはうまく使う。それだけでハンデがデカイ。

 しかしマカッサルは暑い。日本の梅雨か夏のように蒸す。腹が弱いが、エスチャンプルというかき氷を2回も買って食べる。4000Rp。アボカド入りで美味かった。ロッテルダム要塞を観光。およそインドネシアらしからぬオランダ風の建物。植民地時代の名残らしい。

 翌朝、再びデリにチェスで勝負を挑む。宿のスタッフの助言(ほぼいいなりに動いていただけとも言える)もあり初勝利。その後、宿をたち北へ向けて出発。

 まずバスターミナルへベモで1000Rp。そこからパレパレ(Pare Pare)へ12000Rpで移動。車内で前の座席からポタポタと水が垂れてきて、足元にあるボクのかばんに降りかかる。おしっこではなくてよかった。ラオスではあまりにも道が悪く現地の人でも吐いていてそのゲロがかかったことがあった…。

 病院の病室のような真っ白で簡素な部屋の宿に泊まる。20000Rp。食事はウビゴレン500Rpでお腹いっぱい。ウビとはさつまいもでゴレンとはそれを揚げたもの。つまり揚げさつまいもだ。これに砂糖がいっぱいかかっていて甘い。チュロスに似ている。

 それからES TELURという知らない単語の食べ物を頼んでみた。フルーツたっぷりの冷たいかき氷だ。ちょっと匂いがしたのでドリアンかジャックフルーツが入っていたのではないかとおもう。3000Rp。

 パレパレに特に見どころはない。なぜ来たのかと言えば、北へ移動中にある手ごろな町だったというだけだ。

インドネシアルート

(つづく)


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