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あのたび -エロDVD鑑賞会-
一週間に一度しか船が寄らない、何もない小さなマル島に取り残される形となった。リゾートがあるわけでもない。ダイビングできるわけでもない。ビーチがあるわけでもない。うまいものがあるわけでもない。島民も20人いるかどうかというくらいだ。
もちろん宿もないので、この島に来る時に世話になっていたオヤジの家の空いた部屋に泊まらせてもらっている。風通しが悪くもちろんエアコンもなく湿度が高く暑い。コンクリの部屋にマットレス無しの硬いベッド。蚊も多い。
次の船まで6日間の時間をつぶさないといけない。ボクは水と少しのお菓子をもちこんだだけなのでオヤジが朝・昼・夜の飯を作ってくれる。だいたい朝まんじゅう、昼ピサンゴレン、夜ナシイカン。味は毎回一緒なのでだんだん飽きてくるが文句はいえない。
寝る部屋は違うが一緒に暮らすので名前を聞いた。ハシム・サディ60歳。しかしお互い英語もできず、ボクの片言のインドネシア語だけでは会話が続かなかった。
家の外には井戸があった。キコキコとレバーを上下するとジャバーと水が出てくるタイプで、下に桶を置いて水を貯める。それでマンディ(水浴び)や洗濯をしろという。洗濯という単語がCuci(チュチ)だとここで覚えた。
昔、電波少年という番組で、全く言葉が通じない土地へ芸人を送り込み、意思疎通ができるようになる様子を放映していた。それを思い出した。大航海時代の人々はそうやって単語ひとつひとつを覚えて言葉が通じるようになっていったんだな。
何日かにいっぺん、お金を徴収される。20000Rpだったり25000Rpだったり。食材もどこかに買いに行ってるらしい。そりゃただではないよね。
ハシムは庭で蛇を石で叩いて殺していた。皮をはいで食材にするのかなと思ったがそうではなかった。さすがに野生の蛇は食べないか。毒持ちで危ないからやっつけていただけなのだろう。
たまに島を散歩するが見るものはない。子供がナタをもって何か狩りをしているようなのを見たくらい。
あまりにも暇そうにしているボクをハシムがどこかに連れていてくれた。島にある唯一のキオスクらしき建物だ。そこで買い物をするわけではなく家の中に入っていく。そこには小さいテレビとDVDプレイヤーのようなものがあった。島の中では貴重なものだろう。
そこで映画でも見せてくれるのかな?と思ったが、流れた映像はアダルトビデオであった。洋物の画像の荒いそのエロDVDを数十分見せられ、ボクが困惑した顔をしているとその建物をあとにして連れ帰った。まったくもって謎の行動であった。
外国からの旅行者にわざわざなんてものを見せるんだ? それがこの島の最大の娯楽だったのだろうか?
ホントに無駄で暇な6日間を過ごし、翌朝ようやく例のカトリーナ号がやってくると聞いた。やっと島を出られると思って眠りについた。
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(続く)