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あのたび -シュノーケリング-
マレーシアのプルフンティアン島で、暑ければ海に入り疲れたら昼寝するという優雅な日々。
初めてのシュノーケリングをやってみることにした。シュノーケリングとは簡単にいうと水中めがねと呼吸用のチューブをつけて泳ぐことである。ダイビングみたいに免許は必要ない。器具は1日レンタルで20RM(≒600円)くらいだったと思う。
波が緩く雲のない快晴の日を選んだ。海の底まで明るく照らしてくれるから。
宿のダイニングには色どり豊かな魚の写真が張られている。過剰な期待は失望を招くものなので、1時間泳いでキレイな魚が数匹見つかればもうけもんだろうくらいに考えていた。
ところが、海の中は全くの別世界。大きさ・形・色とも様々な魚が人間を恐れることなく泳ぎまわっている。TVでしか見たことのない世界がそこに広がっていた。
25Mプールを平泳ぎで25秒かかってようやく泳ぎきるくらいなのだから、ボクは海が得意ではない。
その泳ぎが下手なボクでもめがねとチューブがあれば平気で何十分も浮いていることができた。息継ぎで顔を上げる必要がないというのが良いようだ。
海底から高さ10Mほどのところに泳いでいるとまるで空を飛んでいるかのようだ。セガサターンのゲーム『NiGHTS』を思い出す。
楽しくて楽しくて、あとで日焼けで背中が痛くなるのもかまわず3時間も魚を追いかけ泳ぎまわっていた。はじめてのシュノーケリングにここまで心が揺さぶられるとは思ってもいなかった。
慣れると酸素ボンベもなしに10Mくらいの深さまでは潜れたりするという。ボクは海面に浮いているだけだったが。
ただ昔のままそこに建っているだけの遺跡よりも、自然の動植物の方がボク向きなのだなと実感することができた。実際この島は「沖縄の海に近い」とか「3日前カメが産卵に来た」とかいうくらい、観光客に汚染されず透明度が保たれているのだそうだ。
正直日本を出てから勢いで旅行してきたものの、東南アジアは頭の中で考えていた予想範囲内のモノでしかなかった。タイを越えてマレーシアまで来てようやく予想以上のモノに出会えた。ここまで足を伸ばしてきてよかった。
2週間の島暮らし最後の夜、宿のスタッフの一人がマレー語で何曲も歌ってくれた。しぶく哀愁が漂う演歌のようにも聞こえた。まだ4ヶ月。だがこれでもう帰ってもいいかなと涙が出た。
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(つづく)