あのたび -旅の意欲-
ボントク(BONTOC)の宿が安いのはいい(90₱)が店が少なく夜はやっていない。簡単に言うと田舎でやることがない。
サガダ(SAGADA)へ移動、ジプニーで2時間30₱。昼はキャベツ+魚+米30₱。宿はSAGADA Guest House100₱(≒220円)。夜は焼き鳥3本19₱。
翌朝チーズ入りパン6個12₱。サガダには大きな鍾乳洞の洞窟があるという。歩いていけそうだと思い、いろんな道をあちこち進んでみたのだがすべての道がハズレで、結局たどりつけなかった。
一人旅中は往々にしてこういうことがよくある。ツアーに申し込むと高くなるし自由がきかないので、できたら歩いていこうかなとか自転車借りてみようかなと挑戦してみる。が結局、地図が間違っているのか縮尺が誤っているのか、目的のところにたどりつけずただ疲れて一日が終わる。しっかり聞けばいいのだけど英語が堪能ではないし、どうしても行きたいというわけでもない。やることがないから時間つぶしに行ってみようかなという程度の気持ちなのだ。徒労感は大きい。
夜は前日食べた焼鳥が気に入ってまた3本19₱。
翌朝7時発。バギオ(BAGIO)まで189₱。その道程の景色が期待していなかっただけに素晴らしい。バギオで昼を済まし水を8₱で補充。ボタン電池100₱で購入し、ポケット電卓復活。英語辞書と通貨換算と世界時計として活躍していたので、また使えるようになってよかった。これでルソン北部をぐるっと一周できたこととなる。
フィリピン北部から台湾へは、海を300キロ隔てて真北にある。もしフィリピンから船で台湾というルートが存在するのなら、これまでずっと陸路海路のみで移動してきた海洋アジア一周という逆時計回りの道のりが一筆書きで完成する。ボクの中で非常に気持ち良い満ち足りた地図の塗りつぶしになる。のだが、どんなに調べても船のルートは無かった。残念だ。
日本を出て10ヶ月になる。新しいものを見たい、自分の足で周りたい、そういう意欲はすでにほとんど消えている。
長い旅行を続けている旅人は偉い。なぜ続けられるのだろうか。一度日本へ帰る。それがまた旅へ出たくなる一番の薬なのではないだろうか。マニラへ戻るエアコンバスの座席に揺られながらボクは思いを馳せていた。
(つづく)