あのたび -優しいカフェ店員-
沖縄で４泊しようやく体調が戻ってきた。さてこれからどうやって日本を北上していこうか。船や電車でのんびりと考えていた。
旅に出る前に、カルドセプトというゲームの全国大会に参加したことがあった。そこで全国から集まるゲーマーたちと知り合いになった。その九州地方の方たちがオフ会を開くという。そこに参戦させていただきあわよくば泊めていただこうとメールで連絡していた。
それが翌日。なのでのんびり船に乗っている余裕はない。飛行機のチケットを購入して沖縄から博多へ飛んだ。沖縄にはモノレールが走っていて中心部から空港へのアクセスは非常に良かった。１時間ほどであっさり博多に到着。博多の空港も天神まで電車で２駅というアクセスの良さ。便利だね。成田とかめっちゃ遠いからな～。
でもそのおかげでビルが立ち並び狭くてパイロットには着陸しづらいらしく、インドネシアのガルーダ航空は博多空港着陸時に事故を起こして出禁になったらしい？
あまりにも早く着いてしまったので時間を潰さなければならない。待ち合わせは夜なのでまだ６～７時間ほどある。当たり前だ。オフ会は土曜日。この日は金曜日。普通のサラリーマンは仕事をしている。仕事が終わってから迎えに来てくれるという形式だ。
天神駅で降りてカフェを探す。ネットカフェでも良かったのだが、旅行前に利用したことは無かったスターバックスでコーヒーを一杯頼む。暖かかったので外のテラス席に座った。
これまでの旅行を思い返したりガイドブックを読んでみたり仮眠をとったりするがなかなか時間が進まない。安いコーヒー一杯(当時おそらく２５０円)で何時間も粘っていた。座席は混んではいなかったので他の客の迷惑になるということはなかっただろう。
テーブルに突っ伏して寝ていると、店員さんがどうぞと小さいカップに新しいコーヒーを入れて持ってきてくれた。この時の驚きと感動が２０年後の今でも覚えている。最初はそろそろ出ていってくれと言われるのかと思った。ビジネスの側から考えると一杯で延々と居座る客よりも新しい客を歓迎して回転よくした方が店として儲かるだろう。
長い旅で汚れた服と怪しい風体の輩に笑顔で親切にあと何分でも居てもいいですよというサービスをしてくれた。それが不思議でもありうれしくてたまらなかった。
やがて会社員M氏が迎えに来てくれた。なんとオフ会は自宅で開催しているようだ。おそらく３ＬＤＫくらいの広いマンションに一人で住み、その中の一部屋には全自動麻雀卓も置いてあった。ゲーム仲間がよく集る場所になっているらしい。その日は空いている部屋に泊めてもらい、翌日ゲームをした。１０人くらい集まっただろうか。結果は４位４位４位２位４位と惨憺たるものであった。が久しぶりで楽しかった。
その結果が今でもＨＰに残っているのがびっくりだ。
試合後、山口県から遠征してきたというＳ氏の自宅へ招かれた(押しかけた？)。ボクは日本語に飢えていたということもあり１年分の旅の感想を延々と一方的にしゃべりまくった。どこからこんな声が出てくるのだというほど尽きないくらい言葉が溢れ出た。それを嫌な顔せず楽しそうに？聞いてくれたＳ氏。ありがとう。
朝起きたあと、次は京都へ向かうことにした。東南アジアを１年回ってやはり日本の文化も見ておかねばと考えるようになったからだ。京都にも安宿があるらしい。その京都でボクは旅行中初めての恋をした…
(つづく)
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