見出し画像

あのたび -コタキナバルのバックパッカーズロッジ-

 フィリピン南端、ザンボアンガ(ZAMBOANGA)で朝早く起き、6時発のフェリーに乗る。最後にターミナルフィー2₱を払わされた。途中で小さい島のボンガオ(BONGAO)へ寄り、マレーシアのサンダカン(SANDAKAN)へ到着。13時間かかった。揺れが激しくて船内でゲーゲー吐いてばかりいた。

 サンダカンは一度泊まったので、そこでは留まらずミニバンでバスターミナルへ移動。そこからコタキナバル(KOTA KINABALU)へのバスチケットを30RM(≒93スの中で寝ようかと思った。

 がマレーシアのエアコンバスはなぜか車内が異様に寒い。クーラーが効きすぎなのだ。暑い国ではそれがサービスだとでも思っているのだろうか。薄手の長袖しか持っていないのでつらい。だからローカルなバスに乗るときはエアコンなしを選ぶのだが、マレーシアの長距離バスはやたらキレイなエアコンバスのみである。窓も開けられないタイプ。

 さらに悪いことに、コタキナバルに到着したのは深夜3時。タクシー乗り場付近で朝まで過ごす。ティー1杯1RMで体を温める。

 日が昇り、バックパッカーズロッジという宿にチェックインし疲れでそのまま寝る。ドミトリー18RM(≒600円)。朝食付きだったのだが食べ逃がしてしまった。昼に起きて、パン2個2.5RMピーチティ1.2RM。両替屋で100$=379RMのレートで両替。当時1$≒120くらいだったので、マレーシアの1RM≒31円ほどである。

 夜は街中でナシゴレン3RM。コタキナバルは東マレーシアでは最も有名な都市。国立公園などの自然観光の起点のようだ。体が疲れているのでボクはトレッキングなどに行く予定はなかった。そのボクをこの宿の本が癒やしてくれた。

 フィリピンでは基本一人部屋で特に旅人とも出会わず会話もなかった。このコタキナバルのバックパッカーズロッジは、名前の通りバックパッカーが集まる宿だ。キッチンがあり料理もできる。ロビーに旅人が置いていった文庫本がたくさんあり、暇つぶしに読むこともできる。日本語の本もあるので日本人も多く泊まっていった宿なのだろう。

 ベトナムやタイのような、久しぶりに心地の良い宿だった。そこまで大きくない町も、歩きまわるに良いしフィリピンの料理よりも口に合う。移動ばかり繰り返してきたのでしばらくここでのんびりすることにした。誰か日本人旅行者が来たら情報交換もできるしね。2003年の年越しはこの街ですごす予定にした。

 1冊目に選んだ本は、村上春樹『回転木馬のデッドヒート』だった。

マレーシアルート
後半は右側

(つづく)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?