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乳がん手術はコンサバが最高です。


 乳がん患者さんに(手術しましょう)と伝えると(カメラですか?)と良く聞かれます。一般の人たちの手術に対する誤解は非常に多いです。

 乳がんに対する外科療法は侵襲性というデメリットはありますが,局所の病変を完全に取り除くことができる点においては優れています。
現在では,乳がんは初期の段階では全身病ではありませんが,ある時点から全身病になるという考え方にもとづいて手術が行われます。したがって,局所にがんがとどまっている症例に対しては,外科療法が根治に有用である可能性が高いです。遠隔転移を伴う場合では,原発巣あるいは転移巣に対する外科療法が予後改善に有用であるかは不明ですが,局所の制御には有用です。

乳房に対する外科的治療は乳房全摘出か乳房部分切除が基本です。主に腫瘍の広がりをもとに術式は決められます。

 世間の人たちの誤解に手術はカメラでするものというマスコミに刷り込まれている誤解があります。カメラで行うのは胸腔鏡 腹腔鏡というカメラを入れて行います。
 もともと体には腸菅 肝臓等の消化器が入っている腹腔、  肺が入っている胸腔という空間があります。そこにカメラを入れて視野を確保して長ーい器械で手術を行うのがカメラの手術です。
 乳房は皮膚と筋肉にくっついていますのでもともと腔【空間】がないのです。ですから乳がん手術はカメラの手術には向きません。一部の施設で無理やり行われていますが タイパ コスパが非常に悪く一般化していません。皮膚を空気を入れて広範囲に剝いでしまいます。無理矢理空間を作るので、普通の手術では考えられない合併症も起こります。(乳がん手術をカメラでと宣伝している施設に注意です。)
おそらく永遠に一般化することはないでしょう。

また最近保険適応になったラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation;RFA),という非切除治療(non-surgical ablation)に関しても,乳がんの進展様式から考えても非合理的です。もちろん放射線治療も必要です。がんが遺残するのが前提で放射線で治す考えです。タイパ コスパ悪いです。施設 術者の縛りもあります。まだまだ実臨床によるデータ不足です。

 乳がんの手術は適応により多くの選択肢があり,それぞれの術式に関して,その適応やリスクについて十分な知識が必要です。一方で,乳房手術における治療の選択は医学的適応のみならず,患者の希望,価値観,人生観などにも左右されるため,それぞれの益と害を十分に主治医より説明を聞きましょう。

決して、カメラによる手術がしたくて仕方がない ラジオ波の手術がしたくて仕方がない主治医に騙されないように。よく検討しましょう。セカンドオピニオンを忘れずに。

乳がんの手術はまだまだ普通の手術(コンサバ手術)が標準で 完成された最高の手術です。手術はさっさと済ませて薬物療法に移行しましょう。乳がんは薬物療法が重要です。

##コンサバとは、「コンサバティブ」の略で「保守的」や「無難」の意味です。


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