高齢者の早期の高リスク トリプルネガティブ乳癌ではペムブロリズマブ(免疫療法)は必要なさそう
2024/9/24に今年のESMOの記事で早期の高リスク トリプルネガティブ乳癌で術前化学療法にペムブロリズマブを追加し術後にペムブロリズマブ単剤追加は死亡リスクを34%減少しましたと投稿しました。ESMO2024
KEYNOTE-522試験は、今まではpCR、予後の改善にもつながることから、KEYNOTE-522レジメンが早期の高リスクトリプルネガティブ乳癌の標準的な周術期治療という位置付けでした。それがさらに統計学的な有意差をもって生存率の改善という結果が出たことにより、強固なエビデンスになりました。
KEYNOTE-522試験は、新規にトリプルネガティブ乳癌でT1c N1-2またはT2-4 N0-2)と診断された患者さんを対象に行われました。患者さんは術前化学療法にペムブロリズマブ(200mgを3週毎)またはプラセボを追加する群に2:1で無作為割り付けされました。根治手術を行った後、術後療法としてペムブロリズマブまたはプラセボの投与を9サイクル、あるいは再発または受容不能な毒性の発現まで継続しています。主要評価項目はpCRとEFSでした。
トリプルネガティブ乳癌では5年過ぎてから再発することは非常に珍しいですから、今のところはトリプルネガティブ乳癌の術前の標準治療はペンブロリツマブレジメンになると思います。
サブグループ解析でも、ペムブロリズマブによる生存率改善効果は認められました。ただ症例数は少ないものの、65歳以上の高齢者におけるOSは2群で差がありませでした。実臨床を考えますと、70歳あるいは75歳になったときに、KEYNOTE-522レジメンを入れる必要があるのかということに対する答えです。
65歳以上のトリプルネガティブ乳癌では年齢が高いから免疫関連有害事象が起きてしまうと重症になります。生存率は変わらないので、高齢者で免疫関連有害事象の不安を感じながらのペムブロリズマブ投与は必要はなさそうです。