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骨転移の診断の難しさ。正確な診断を。しなくてよい治療を受けないように。

以前経験した症例です。骨転移診断の難しさを実感しました。

他院からの紹介患者さんです。20年ぐらい前でしょうか?
44歳女性 luminalタイプ Stage2で術後6年 手術及びホルモン治療終了していました。胸痛があり来院。胸部レントゲン問題なく、腫瘍マーカ問題なし。一応CTおよび骨シンチ撮影。今ならPET撮影したと思います。
放射線科の診断は骨シンチで肋骨に何本にもわたって取り込みの亢進あり。骨転移疑いとの診断でした。
 確かにホルモン陽性患者さんでは骨転移はよくあります。骨転移のみで治療している人も多いです。

しかし治療もしっかりしているし、ホルモン治療も終了している。
骨シンチの肋骨のみの転移というところに疑問を持ちました。影の並び方も違和感ありました。
そこで話をよく聞くと数ヶ月前大きな交通事故でシートベルトで胸を強く圧迫されたとのこと。圧迫で肋骨に損傷が起き骨シンチに描出されたのではないかと思いました。
そこですぐには治療は始めず丁寧に様子を見ていくこととしました。
すると影も消えてきて今もお元気です。
骨転移診断は難しいのです。

再発治療を考える上で,再発の確定診断がまず最も重要な作業となります。 再発でない患者さんに長年再発治療を行う罪は特に大きいです。再発を疑っている状況で、あわてて治療を開始しないことが大切です。

現在、 再発の早期発見が生存予後を改善するデータはなく, 各種ガイドラインでも, 術後は年1回のMMG検診をお勧めするのみです、 しかし、患者心理としては、早期に見つけることで予後が改善しないかと考えている人もいます。

再発診断 治療はセカンドオピニオンをうけて治療を開始しても遅くはありません。


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