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乳がん再発治療の考え方
再発乳がんの場合術後治療が終了している場合がほとんどです。ですから再発治療の薬の使い方に術後治療の薬の使い方は応用できません。
再発乳がん治療ではPrimary resistanceと acquired resistanceの考え方があります。
Primary resistanceとは、ER陽性にも関わらず再発治療の最初のホルモン治療が全く効果を示さないか、HER2陽性乳がんにも関わらず抗HER2治療が全く効かない状況のことを指します。 acquired resistanceは再発治療開始後最初はホルモン治療、抗HER2治療に効果があったものの経過中に効果がなくなった状況を言います。 両者は薬剤の効果がないという事象としては同じですが、 薬剤抵抗性のメカニズムは全く異なることが考えられます。
再発乳がん治療では、前治療の抵抗性のメカニズムを十分考慮した次の治療薬の選択が必要です。
再発治療ははっきり言えば正解がない世界です。薬剤の特性 臨床試験の結果 はもちろん頭に入っているのは必要です。すべての治療法に精通しているのは当たり前です。
そこに一番必要なのは医師サイドの臨床経験という要素があります。
気を付けなくてはいけないのは経験年数が長くても再発治療はやったことがないという乳腺科医も多く存在する事です。再発治療は奥が深いです。再発治療が出来る医師は少なくとも再発進行患者さんを15年以上診たことがある医師です。乳がんは再発して10年以上お元気な方も多いです。長期視線を持って治療計画を組むことが必要です。そのため医師の長期の経験が必要なのです。
目の前の先生が何か次の手に困っているような場合 ホルモン陽性再発乳癌なのにすぐ抗癌剤を使いたがる場合 使う薬がことごとく効かない場合、すぐ新薬を勧める場合 すぐ緩和医療を勧めて手放そうとする場合等は医師の実力不足です。
他の先生は経験 知識から違う薬を推薦してくれる可能性があります。
薬の投与する順番を変えるだけでまたホルモン治療の効果が復活することもあります。経験のある医師は本当にすばらしい奥の手を次から次に出してきます。
セカンドオピニオンをうけて次の治療を開始しても遅くはありません。
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