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遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)患者さんの手術法に対して提案
最近セカンドオピニオンでよく遭遇する問題があります。乳がん術前に家族歴等でBRCA1/2遺伝子検査を行い陽性であった場合(遺伝性乳がん卵巣がん症候群 HBOC)、早期の乳がんであるにも関わらず、患側乳房全摘出はもちろんリスク低減対側乳房切除術(CRRM)、リスク低減卵管卵巣切除術を施行、さらに、両側ティシュエキスパンダー(TE)再建の同時手術を医者から提示される患者さんが増えています。手術時間は7-8時間だそうです。
理論的にあっているのかもわかりませんが、このような手術は個人的にはおすすめしません。
全身検査は十分され対側の乳がん 卵巣癌は見つかっていないのです。
明らかに問題がある手術です。
まずここまでの大手術を施行するのに患者さんがいろいろ考える時間が短かすぎます。
片側乳がんの手術でしたら1時間かかりません。((極端な話ですが一本虫歯が見つかったのであなたは虫歯になりやすいので歯を一本残らず全部抜きましょうとそしてインプラントにしましょうと言われているようなものです。))
何か合併症がおこると手術より大事なホルモン治療 化学療法が遅れます。こちらが命にかかわります。
私がおすすめするのはまず病変側一方のみまず手術します。術後ホルモン治療なり 化学治療なりが始まります。この治療は反対側に目に見えない小さな乳がんがあった場合、薬の効果がある可能性もあります。対側に乳がんが出てこない可能性もあります。
最悪反対側に出てきたとしても反対側乳がんfollow中ですので小さく見つかりますのでまた手術で根治出来ます。それまで10-20年経っている可能性は高いです。次の新しい治療法があるかもわかりません。
再建についても手術から術後補助療法が終わってゆっくり施行した方がきれいに患者さんも納得して行えるものです。大手術の途中の再建はけっしてきれいにしてもらえません。
そのころには医療に対する見方も変わっているかも?((医療不信になっている可能性もあります。))
卵巣癌については対側乳がんの発生率より高いですが、乳がん治療が落ち着いてゆっくり考えましょう。(やはり手術したいと思いましたらその時期に施行すればよいのです。手術時間も短くて済みます。)
若くて元気な主治医は大手術がしたいものです。この大手術をするように説明してきます。不安をあおります。
患者さんはその先生に付き合う必要は全くありません。(私はゆっくり確実な治療を希望しますと言いましょう。)
いずれにしても、知識武装してセカンドオピニオンを利用してしっかり納得して治療することが大事です。
後で後悔することがないように。
早期乳がんの場合検討する十分な時間は残されています。
誠実な主治医にお会いできることを願っています。
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