間もなく８６歳老人日記

２０２３年１２月１１日（月）
　「海の波」のビデオを撮りに行った。家から歩いて十分ほどの、湘南の海「虹ケ浜」に。今日の波は穏やかだった。空は曇り空であったが、暖かい。人影は、いつものことながら、まばらである。
　遠くの方で、波打ち際で釣り糸を垂れている人がいる。こんな波打ち際まで、魚が来るのかと、いぶかしく思っていた。
　ところが、しばらくして、私の目の前で、大きな魚が飛び上がったのである。波打ち際の白い波から1メートルか２メートルの向こうという、砂浜に極く近いところで。
　一匹が、海上、４，５０センチまで勢いよく飛び上がって、ボチャンと落ちかと思うと、またその右で、左で、次々と魚が飛び上がっては落ちていく。そのあとには、黒い楕円形の渦ができる。
　初めて見た光景なので私は感激していた。
　割合大きな魚である。知識のない私は、その魚が何であるか調べてみた。よく飛ぶのはボラらしい。そのほかにも飛ぶ魚は割といるらしい。
　私は思う。原発の汚染水でここの魚も汚染されるのではないかと。心配になる。
 
２０２３年１２月１４日
　朝、顔を洗おうと洗面所に立った。足の裏が冷たい。よく見るとお皿一杯分をぶちまけたように水が床に溜まっている。起き抜けのことで、頭が回らない。ようやく思い至って天井を見ると、天井の空気抜きのような所から水滴がぽつりぽつりと落ちている。
　マンションの管理を委託している会社に電話したら、上の階の方に、水をこぼさなかったか聞いて下さいという。その後で見に行くという。
　仕方がない。水がざーざー落ちているわけではないので、バケツを置いて上階の方の帰りを待った。
　夕方訪ねて行ったが、ピンポーンと押しても応答がない。私は最近このマンションに越してきたので、上の方がどんな方か知らないので、世話役の方に何時ごろ帰ってこられるか尋ねに行った。世話役の方は、もう帰っている時刻だからと、一緒につてきてくださった。一度押しても応答なし。いつもならもう帰ってきている時刻よ、などと話していたら、声が聞こえたのか、二度目のピンポーンで出て来て下さった。７時頃でももう暗いので、警戒して出てくださらないのだなあと思った。確かに女性にとっては、むやみと出ていけない世の中だもの、と、納得せざるを得なかった。
　結局水はこぼしてないということであったが、今日、見に来てくれた業者は、風呂場のタイルの継ぎ目などから水が落ちて来ているのかもしれないと言って、上階を見に出直すことになり、まだ、私の家のバケツの中には、ぽつりぽつりと、水滴が落ちている始末である。
 
２０２３年１２月１５日
　今日は、朝、生ごみをゴミ置き場に出しに行ったきりで、あと一歩も外に出なかった。時間が余って夜の時間を持て余した。寝るには早すぎる。かといって本は読みたくないし、友人、知人に電話をかけても、相手の迷惑になるだろう。最近は少し飽きてきたのだけれど、ユーチューブを見て時間を過ごすことにした。最近はまっているのは、政治系ユーチューブである。しかしそれも同じことの繰り返しで少々飽きが来ている。
　ふと目にとまったのは、東映時代劇チャンネルの「親鸞」の映画だった。
これだと思って映画を見た。
　映画は、十年比叡山にこもっていた親鸞が、京の都に下りてきた時から始まる。若き日の親鸞の行動と思想と、そして煩悩が、様々な事件や王朝文化の優美な背景とともに描かれていく。いい映画だった。
　夜は深々と更けていった。
　見終わって、高揚した気持ちのまま、夜中の湯船に浸かった。