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おっちゃんその後


このおっちゃんのすごさを書いておこう。

おっちゃんは、ゾーンに入って仕事をする。

だしをとっているとき。

クッキングシートをオーブンの型に合わせカットするとき。

魚を並べているとき。

簡単な作業でも、超集中力を発揮している。まわりがどんなに騒がしくても。

私もピアノの練習している時は、そんな感じ。

「鍵盤と私」しかいない。

だから

「だし汁と俺様の世界」

映画のタイトルのようだ。

そうして出来上がった料理は、ものすごく美味しい。

うす味だけど、満足出来たり。

噛めば噛むほど口の中にしばらく香りが残る。

最近たまごサンドを作ってくれた。

ふわっふわのたまごが、パンの間にありえないくらい大量に挟まれている。

具の量間違えてますよってくらい。どうやってカットしたのだろう?

食感はクリーミーだけど、後味はさっぱりしている。

美味しい!って報告しに行ったら

「だろぉ?俺は口はわりぃけど、腕は最高なんだよォ!」

とべらんめぇ調で言った。

また、利用者用のおやつにショコラムースが出たとき、食い意地の張った私は、仲良しのスタッフに

「美味しそう!余ったら私にもちょうだい〜」

とお願いしておいた。

ふと見ると、少し離れたところにおっちゃんがいた。今日はおっちゃんの日だから、みんな美味しいご飯食べられるな、いいことだ、と思った。

20分後、おっちゃんが

「余ったから食べてよ」

とムースを4つくれた。

ワオ!ありがとうございます♪頂きます!と受け取ったとき、これ余ったやつじゃないな、きっと数分で作ってくれたんだ、と咄嗟に思った。

利用者用のはしっかりと冷えているけど、余った4つは触るとあったかい。湯煎で溶かしたばかりのチョコレートの甘い匂いがする。温かい出来立てのショコラムース。

上にホイップクリームで飾ってくれたけど、チョコがまだあったかくてホイップがすぐに溶けてしまった。

じーんとした。

テメェってヤツは〜!バカヤロコノヤロ〜!と後ろから飛びかかりたい気持ちを堪えて(ヤメロ!)

「美味しいですよ」

と言うと、

「あっそ」

と返答。

一番苦手な人だったのになあ。黒歴史を思い出さなかったら、「よぉ」なんて言ってなかったわ。

美味しいものを分けてくれるも嬉しいけれど、もっぱら私の関心は、おっちゃんの仕事のやり方。

ゾーンに入る。

これは、気持ちいいよね?

ところで。私はなぜさっきから、おっちゃんおっちゃんおっちゃんおっちゃんおっちゃんおっちゃんおっちゃんおっちゃんおっちゃんおっちゃんおっちゃんおっちゃんおっちゃんおっちゃんおっちゃんおっちゃん、とうるさく書いているのだろう?

好きなのでしょう。

ヤクザみたいな顔してるけど、好きなものは好き。

💕














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