D&D2024年版の新呪文
こちらは、7月2日に配信された「New Spells | 2024 Player's Handbook | D&D」の内容を日本語でまとめたものです。必要な解説も中に交えて説明するので、初心者も読みやすいです。
前置き
動画の中では順番を問わずにいろんな情報が出ていますが、それを文字起こし風にここで書いても読みづらいと判断しました。筆者も自分のメモを見て複雑さに気が付きました。
ここでは、動画に出た内容を全部扱うが、扱う順番は筆者が決めた大まかなテーマごとに分類されます。こうすることで「新呪文の情報のみ知りたい!」という人はそれができるし、既存呪文の扱いや全体的な方向性がなにかに興味ある人はそれだけを閲覧できます。
これを踏まえてお楽しみいただければと思います。また、呪文についての補足も中に含まれてますので、初心者もわかりやすいでしょう。
概要
2024年板のPHBに含まれる呪文の章には以下の大まかな変更点が含まれる。
完全新規呪文は30個以上
既存呪文のダメージや回復量を見直した
回復呪文全般や、特に高レベル呪文のダメージ量を増やした。射程を見直した
集中を持っているものが集中不要になったり、逆も然り
呪文の項目の見せ方を改善した
呪文ごとに発動できるクラスが明記され、「儀式」のタグは発動時間へと含まれるようになった。今まで呪文の章に含まれていなかったルールが具体的に記載された
新規アートも大幅に追加され、呪文がより「見やすく」「わかりやすく」なったと言える。呪文そのものが変わってなくても、使い方についてのルールが明記されていることから、結果的に使いやすくなっているものもある。
新規呪文
新規呪文には2つの軸がある。「ザナサー本やターシャ本から輸入されたもの」と「プレイテスト等でも現れた完全に新規の呪文」である。
輸入系呪文
サモン系呪文(ターシャ本から輸入)
一番注目すべきが「召喚系」呪文(サモン◯◯)である。これらはターシャ本で初めて紹介されて、今はPHBに含まれ強化もされた。モンスターデータもすべて呪文と一緒に記載されているので、他の所を探しに行く必用は無い。
モンスターデータも2024で使用する新規データブロック形式を採用している。召喚系呪文のアートも豪華になったことから、何を召喚しているのかがわかりやすいだろう。野獣、フェイ、人造、アンデッド、ドラゴン、何でも召喚できる!
カンジャー系呪文(2014年PHBのバランス調整)
サモン系呪文の上記のバランスを行ったことにより、2014年版にあった「カンジャー◯◯」系呪文のデザインを変更した。同じ召喚系でも、この呪文はMMからデータを探す必用があった。
しかも、大量のクリーチャーが現れることが多く、イニシアチブもゴチャつくことが多かった。
これらの呪文は具体的なクリーチャーを召喚するのではなく、クリーチャーの霊的な存在を召喚するようになった。プレイテストでこれらの呪文の改訂版が提示され、PHBには最終盤を見ることができるだろう。
*補足、以下がプレイテスト時のカンジャー系呪文の内容です。
カンジャー・ウッドランド・ビーイング
5レベル、召喚術(ドルイド、レンジャー)
発動時間:アクション
射程:自身(10ft・3m半径)
音声、動作
持続時間 集中、10分まで
内容:
君の周囲に自然の精霊を召喚する。
君から10ft(3m)以内に入るクリーチャーは判断力セーヴを行い、失敗すると5d8の力場ダメージを受ける。成功した場合は半減する。
ターンで最初に入ったときまたはターンを開始したときにのみ適用。
呪文発動中は離脱アクションをボーナス・アクションとして使用できる。
高レベル版:
呪文スロットが1上昇するたびに、ダメージが1d8上昇する。
このように、クレリックの「スピリット・ガーディアンズ」みたいに、範囲にダメージや特殊効果を発生させる霊体を召喚する。
特定のクラスに与えられる呪文
呪文中には特定のクラスやサブクラスが使用することを念頭にデザインされているものもある。
例えば、ドラゴンズ・ブレスの呪文。もともと存在していた呪文だが、これは竜の血脈のソーサラーに与えたくてここに含めた。
もう一つはエレメンタリズム。これはモンクの四元素の戦士(旧:四大門)の元素を操るフレーバーのためだけではなく、散らかっていた元素を操る呪文をすべて一つにまとめる意図があった。
*補足、シェイプ・ウォーター、モールド・アースなど、水や土を魔法の力で動かすための呪文のことです。
その他の輸入呪文
初級呪文
トウル・ザ・デッド(相手がダメージ受けてると威力が上昇する)
マインド・スリヴァー(セーヴに-1d4を与える)
ワード・オヴ・レイディアンス(自分の周囲を攻撃する呪文)
プロデュース・フレイム→発動後に使用するのは楽しかったが、発動そのものが面倒だった。実はBG3を遊んでやっと、こういった呪文の面倒さを理解できた。1レベル
アイス・ナイフ(攻撃と範囲爆発が両方入ってる呪文)
クロマティック・オーブ→ダメージ種別を選べるのは変わらないが、別の目標に「跳弾」することが可能になった。2レベル
マインド・スパイク(精神ダメージを与え居場所を追跡する)
クラウド・オヴ・ダガーズ→この呪文は移動できるようになった。BG3でもこの呪文を動かせないのはストレスでした。4レベル
ヴィトリオリック・スフィア(酸の玉を投げて範囲攻撃する)5レベル
スティール・ウィンド・ストライク(高速移動しながら周囲を攻撃する)
新規呪文
初級呪文
スターリィ・ウィスプ(攻撃しつつ、不可視状態を解除する)
ソーサラーズ・バースト(ダメージの出目が最大だとダメージ振り足す)
プレイテストにすら出ていない完全新規呪文もある。
Yolande's Regal Presence(ヨランデの威光)
パラディンの紹介で現れた呪文。Jallarzi's Storm of Radiance(ジャラージの輝ける嵐)
モルデンカイネンが設立し、ビグビーなどの魔法使いがいる同盟グループ「八者の円」に所属しているのがジャラージである。彼女もやっと自分の名前が呪文についた。
彼女が出てくるアートも追加された。八者の円は魔法使いの同盟だが、彼女だけはセレスチャルのウォーロックである。Tasha's Bubbling Cauldron(ターシャのぶくぶく釜)
ターシャに関連する呪文も追加された。これは大きな釜を召喚し、その中からポーションを得る事ができる。
呪文のバランス調整
回復系呪文
キュア・ウーンズ、ヒーリング・ワードなど強化された。回復量が増えて、使うのがより気持ちよくなった。
プレイヤー・オヴ・ヒーリングは更に小休憩を誘発する効果も追加された。
初級呪文
ブレード・ウォード、ガイダンス、レジスタンスなどの呪文はより使いやすくなるために機能が大幅に変わった。
例えば、ガイダンスは技能を一つ選び、集中している間、それで行う判定全てにボーナスが入るようになった。ブレード・ウォードとレジスタンスもちゃんと「使える」ものになった。
こうして、「普段あんまり使われていない」呪文は調査し、どうすればワクワクする内容にできるか考えた。
高レベル呪文
高レベル呪文については、そもそも発動するレベルにキャラクターが到達するのは珍しい。しかし、使えるようになったときはちゃんと意義のある効果を届けられて、文字数も削減した。
高レベル呪文はだいぶ複雑であるから、使う時はちゃんとわかりやすい効果であってほしい。
ポリモーフ、シェイプチェンジ、トゥルーポリモーフなどはHPに関する効果が変わり、変身先のHPを丸ごと得るのではなく、一時HPを得るように再設計された。
概ね、すべての呪文では「使って楽しい」「使いやすい」を目指した。
クラスの章はPLのみが使うかもしれないが、呪文の章はPLもDMも使用する。主にDMが使用することが前提の内容も含まれている。例えば、ガーズ・アンド・ウォーズをPLが使うのは極めて珍しいが、NPCがダンジョンを守るために使うことは容易に想像できる。
今は拠点ルールがあるから、もしかしてPLも…?
ウィッシュ
*これは他の呪文を完全に再現する効果と、PLとDMが協議して望む効果を発生させる願いを叶える呪文です。
デフォルトで使える効果が追加され、デフォルト以外で使ったときの副作用も明記されている。さらに、シギルの町や苦痛の貴婦人に対してウィッシュを使うとどうなるかの記述も追加された!
他にも物質構成要素の中身が変わったり、呪文が失敗したときのフレーバーのみが変わった呪文もある。
DMGの魔法のアイテム同様、わかりやすい強化以外にも、こうしたフレーバーを散りばめている。みんなにはPHBを手にしてこうして小ネタを拾ってほしい!
*補足
シギルとは、別の次元界に存在している中立を表す大都市です。次元界の中心に位置し、すべての次元界へ通じる「扉」があることから「扉の都市」とも呼ばれています。
このシギルを支配する苦痛の貴婦人は強力な存在でありその正体は謎に包まれています。強力な悪魔、失われし神、魔法を体現する存在など、色々とあります。しかし、わかっていることは一つあります。彼女に喧嘩をふっかけた人は全員悲惨な目にあってます。
例えば、シギルの魔法を横取りして不老不死になろうとした魔法使いは肉体を迷路に閉じ込められ、しかしウィッシュを使ってそこから脱出しようとしたら苦痛の貴婦人がそれを察知して遠い過去に飛ばし、記憶も奪いました。
ウィッシュの呪文にすら介入できるほどの強さを持った彼女にウィッシュを使うのは愚行です。
アートのお披露目
PHBの呪文の章には新規のアートが大幅に追加され、発明者の名前がついた呪文はその発明者が使っているところだけではなく、他の呪文も一緒に発動しているのが現れている。(メイン呪文+サブ呪文)