見出し画像

レモネードの原則とは

エフェクチュエーションの中核的な考え方の一つである「レモネードの原則」は、予期せぬ事態を受け入れ、それをチャンスに変えることを指します。
「レモンを渡されたら、レモネードを作れ」という有名な格言が由来です。日本では、瓢箪から駒が、これにあたるかも知れません。
この原則を活用して成功した事例を以下に紹介します。

1. Slack(スラック)
概要
Slackはもともとオンラインゲームを開発していたチームが、副産物として生まれたチーム向けチャットツールから誕生したサービスです。

予期せぬ事態
• 開発していたオンラインゲーム「Glitch」が市場で成功しなかったため、プロジェクトを中止。

レモネードの原則の適用
• ゲーム開発中に使っていた内部用チャットツールがチーム内で非常に効果的だったことに着目し、それを商品化。
• ゲーム開発という本来の目標が失敗したにも関わらず、副産物を活用して新たな市場を開拓。

結果
• Slackはチーム向けのコラボレーションツールとして大成功を収め、現在では世界中で広く使われるサービスとなり、時価総額は数十億ドルに達しました。

2. PayPal(ペイパル)
概要
PayPalは最初、モバイル端末同士で送金するツールとしてスタートしました。

予期せぬ事態
• 当初のモバイル送金サービスがあまり受け入れられなかった。

レモネードの原則の適用
• eBayのユーザーたちがPayPalを商品の支払い方法として利用し始めたことに気づき、ビジネスモデルを電子商取引の支払いサービスにシフト。
• 初期のアイデアは予期せぬ形で変化したが、それを積極的に受け入れ、最適化。

結果
• 現在では世界最大級のオンライン決済サービスに成長し、数億人のユーザーを持つ企業となっています。

3. 3M(ポストイット)
概要
3Mの有名な「ポストイット」は、偶然の発見を基に作られた商品です。

予期せぬ事態
• 3Mの研究者が「強力な接着剤」を開発しようとしたが、結果として粘着力の弱い接着剤ができてしまった。

レモネードの原則の適用
• その弱い粘着力を「一時的な貼り付けに最適」と捉え、メモやしおりとして使えるポストイットの製品化を進めた。

結果
• ポストイットは3Mの象徴的な商品となり、世界中で広く使われる成功商品となった。

4. Twitter(ツイッター、現X)
概要
TwitterはもともとPodcast配信サービス「Odeo」の一部として生まれました。

予期せぬ事態
• AppleのiTunesがPodcast市場をほぼ独占する形となり、「Odeo」のビジネスモデルが行き詰まり。

レモネードの原則の適用
• 社員間でテストされていた短文投稿のコミュニケーションツールに可能性を見出し、サービスの方向性を大きく転換。
• 「予期せぬ事態」を受け入れ、ビジネスの軸を完全に変更。

結果
• Twitterはリアルタイムな情報共有プラットフォームとして世界中で成功を収める企業に成長しました。

5. YouTube
概要
YouTubeは当初、動画共有の「オンラインデートサイト」として構想されていました。

予期せぬ事態
• デート目的の利用者があまり増えず、サービスの普及が停滞。

レモネードの原則の適用
• 利用者がデート以外の目的で動画をアップロードし始めたことを見て、動画共有サイトとして方向転換。
• デートにこだわらず、ユーザー行動に合わせて柔軟に対応。

結果
• 現在では世界最大の動画共有プラットフォームとなり、Googleに買収されるなど大成功を収めています。

これらの会社に共通する成功要因
1. 予期せぬ出来事を拒まず受け入れる柔軟性:
• 初期計画に固執せず、変化をチャンスと捉える姿勢が成功を導く。
2. 副産物や周辺の可能性を見逃さない洞察力:
• 初期の失敗や意図しない成果から新しいビジネスチャンスを見つける。
3. 迅速な方向転換:
• 新しい方向性を見出したら、素早くリソースを集中させて実行。

「レモネードの原則」は、予測不可能な環境で価値を創出するための強力なアプローチです。日本でも昔から、失敗は成功のもと、七転び八起き、ただでは起きない、などの言葉があるように、これらの事例から、失敗や予期せぬ事態を単なる問題とせず、柔軟に対応することの重要性が学べますよね。

いいなと思ったら応援しよう!