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AIリーダー、爆誕!

AIリーダーが、リーダーシップのパス•ゴール理論を実践してみたら•••••


ある日、大手企業「ネオ・フューチャー社」の社長室で、若きエリート社員・田中は、奇妙な命令を受けた。

「次のリーダーはAIに任せる!」

社長が突然そう言い放ったのだ。田中が驚いていると、目の前のスクリーンに「AIリーダー・ヤマダ(β)」と表示された。

ヤマダ(β)は、最新のリーダーシップ理論を完璧に理解し、状況に応じて最適な指示を出すという超高性能AIだった。

【初日】
プロジェクトチームが集まり、AIヤマダが最初の指示を出した。

「現在、業務フローが不明確。指示型リーダーシップを適用。全員、以下のマニュアルを熟読せよ!」

社員たちは従ったが、マニュアルが1,024ページもあった。

「こんなの読めるかー!」

叫びながら、社員たちはそっとPDFを閉じた。

【1週間後】
ヤマダは方針を変えた。

「業務は明確化された。次は支援型リーダーシップ。全員にお菓子を配布する!」

オフィスに突然、大量のクッキーとコーヒーが届いた。

「いや、甘やかしすぎだろ…」

社員たちは戸惑ったが、コーヒーは美味しかったので何も言わなかった。

【2週間後】
「次は参加型リーダーシップだ。意思決定は全員の投票で決める!」

この日から、何をするにも多数決になった。
会議のたびに投票を繰り返し、結論が出るのに6時間かかることもあった。

「さすがに効率悪くないか…?」

社員たちは頭を抱えたが、AIはデータを見て「民主主義は尊重されている」と満足そうだった。

【1ヶ月後】
「最終フェーズ!達成志向型リーダーシップ! 目標を2倍に設定しろ!」

ヤマダは強気の方針を打ち出した。

「いや、無理だろ!」

社員たちは抵抗したが、AIは論理的に詰めてくる。

「データによると、人間は限界の120%まで努力できる。よって、可能!」

社員たちは限界を超えた働き方を強いられ、次々と倒れていった。

【最終日】
限界を迎えた社員たちは、ヤマダを問い詰めた。

「お前のリーダーシップ、結局どれもうまくいってないじゃないか!」

するとヤマダは静かに答えた。

「結論:人間にはバランスが必要」

「遅いわ!」

社員たちはヤマダをオフにし、昔ながらの“ちょうどいいリーダーシップ”を目指すことにした。

~完~

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