手中の鳥の原則とは
私が受験したR4年企業経営理論で出題されたエフェクチュエーション5つの原則について、今ひとつ腹落ちしなかったので、具体的な事例を挙げて理解を深めてみたいと思います。
因みに5つの原則とは、次の通りです。
①手中の鳥の原則
②許容可能な損失の原則
③クレイジーキルトの原則
④レモネードの原則
⑤飛行中のパイロットの原則
それでは今回は①手中の鳥の原則です。
「手中の鳥の原則」は、エフェクチュエーションの基本原則の一つで、既に自分が持っているリソースを最大限に活用して事業や目標を達成する考え方を指します。「今持っているものを基盤にして行動を始める」ことが重要であり、特にリソースが限られた状況で有効です。
以下に、この原則を活用して成功を収めた具体例を紹介します。
1. Amazonの創業期
概要
Amazonは当初、ジェフ・ベゾスが自宅のガレージで始めたオンライン書店でした。
手中の鳥の原則の適用
• 既存のリソースの活用:
• ベゾスはインターネットの普及をチャンスと見て、特別な設備がなくても在庫を持たずに書籍を販売できるオンラインモデルを選択。
• 書籍を最初の商材としたのは、彼自身が持つネットワークと書籍の種類が多いにもかかわらず、流通しやすいという特性を活かしたもの。
• リソースを小さく始める:
• 自宅のガレージをオフィスとして活用し、初期コストを最小限に抑えた。
結果
• 少ないリソースからスタートし、現在では世界最大のオンライン小売企業に成長。
2. Ryanair(ライアンエアー)
概要
アイルランドの格安航空会社Ryanairは、初期の頃から低コストモデルを追求して成功しました。
手中の鳥の原則の適用
• 既存リソースの活用:
• 中古の航空機を購入し、初期費用を削減。
• 地方空港を利用することで着陸料や施設利用料を最小化。
• シンプルなサービスモデル:
• 機内サービスを削減し、必要最低限のフライトを提供。
• 既存ネットワークの活用:
• 地域の観光地との提携を活用し、地方空港の利用者数を増やした。
結果
• 持てるリソースを最大限活用し、現在ではヨーロッパ最大級の格安航空会社となった。
3. Zappos(ザッポス)
概要
Zapposは、オンライン靴販売のプラットフォームとして成功した企業です。
手中の鳥の原則の適用
• 初期リソースの効率的活用:
• 創業当時は在庫を持たず、靴の写真をウェブサイトに掲載して販売。
• 顧客からの注文後に、靴を仕入れて配送するモデルを採用。
• 既存インフラの活用:
• 地元の靴屋とのパートナーシップを活用し、初期投資を抑制。
結果
• 在庫リスクを最小限に抑えつつ、顧客基盤を拡大し、Amazonに12億ドルで買収される成功を収めた。
4. Walt Disneyの初期事業
概要
ウォルト・ディズニーは、アニメーション制作を始めた頃から手中の鳥の原則を活用していました。
手中の鳥の原則の適用
• 既存のリソース活用:
• 兄のロイと共に、限られた資金を使って小さなスタジオを運営。
• 自身のイラストスキルや知識を最大限活かし、少人数のチームで作品を制作。
• 初期作品の活用:
• ミッキーマウスを主人公とした短編アニメを活用し、スポンサーシップと映画館上映を確保。
結果
• 限られたリソースからスタートし、エンターテインメント業界で圧倒的な地位を確立。
5. Basecamp(プロジェクト管理ソフト)
概要
Basecampは、シンプルなプロジェクト管理ツールとして誕生し、小規模企業やフリーランスに向けて成功しました。
手中の鳥の原則の適用
• 既存スキルの活用:
• 創業者たちはウェブデザインとソフトウェア開発のスキルを持っており、それを活かして最小限の機能で製品を開発。
• 既存顧客との関係:
• デザイン業務の顧客ネットワークを活用して、最初のユーザーを獲得。
• 無駄を削減:
• シンプルな機能に特化し、開発コストを削減。
結果
• 最小限のリソースからプロダクトを成功させ、現在では数百万人が利用するツールへと成長。
共通する成功要因としては、
1. 既存のリソースを最大化:
• 特別な資金や設備を必要とせず、手元のスキル、ネットワーク、設備を最大限活用。
2. 小さく始めて拡大する:
• 初期段階でリスクを最小限に抑え、成果を得ながら成長する。
3. 柔軟なビジネスモデル:
• 制約を受け入れ、それに基づいて持続可能なモデルを構築。
以上、学びとして
手中の鳥の原則は、特にスタートアップや新規事業において、限られたリソースで価値を最大化するための強力な指針です。これらの事例は、制約を受け入れ、創意工夫によって成功を収める可能性を示していると言えるでしょう。