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日記 ブラックバイトに気をつけろ

ふとしたことから、大学時代のバイト先を思い出した。

今よりもだいぶ人間性に問題のあった私は、アルバイトを転々としていた。
どう考えても、私に社会の常識と根気が足りなかった。

…が、今思うと、
私に問題があったとはいえ、なかなか酷い環境だったなと思うバイト先もいくつかある。

一番嫌なイメージがあるのが焼肉店だ。

「オープニングスタッフ募集のため特別時給1000円+まかない付き」の文字に惹かれた私は早速応募してすぐに採用された。

オープン前の顔合わせと称して、オープニングスタッフ何人かと店長で食事会があった。
たしか、大学生の男の子と、主婦と、フリーターの男性と、高校生の女の子がいた気がする。
店長は20代前半くらいの日焼けしたお兄さんだった。

そこでは人生の目標について聞かれたり、店長の野望を聞いたりして、
まだ大学に入りたてで就職活動の展望すらない私に人生のあれこれを説こうとする店長の言葉を聞いて、
なんだかなあ…と思った記憶がある。
今思えば、パワハラまではいかないにしても人を見下した発言だったと思う。

そして今思えば、20そこそこで自分のお店を持つことになった店長からしたら、相当熱い思いがあったのかもしれないが、
特に面接で特別なことも聞かれなかったので、私はそこまでの熱意がないという最悪なオープニングスタッフだったわけだ。

お店がオープンして、バイトが始まった。
初日から知らない女の子が出勤していた。
その子は、店長が修行した焼肉店のベテランアルバイトらしく、
サポートで毎日入ることになったらしい。
「なんでもその子に聞くといい」とのことだったが、
どう考えても“その子”は、「自分の城に他の女を入れたくない」という感じで、仕事を教えてもらえる空気ではなかった。

その子は私と同じく大学1年生だったが、焼肉店のアルバイト自体は高校生から始めてもう4年目でベテラン。
さらには店長とも元バイト仲間で、
新しいお店の店長補佐なんて立場を与えられたら、
大きな態度になってしまってもおかしくはない。
が、おそらく若い女同士だからこそわかる、あの人を見下したような態度がなんとなく嫌だった。

駅からも大学からも遠いその立地にできた謎の焼肉店に平日の夕方から新規のお客さんが来るはずもなく、
暇な時間が続いた。
店長とその子が前の焼肉店の話をしているのを聞いてるだけの時間が長くなり、とても退屈だった。
こちらから話を振ろうにも、
「“あいつ”今日どうしてる?」「”あっちのお店”手伝ってます」などと二人にしかわからない会話をされたら、もうそこに入る隙などなかった。

あーたまに聞くよね、
こういう、店長と、店長のお気に入りだけでバイト先の空気が決まっちゃう感じ。
外野は置いてけぼりで、そのお気に入りの意見で何でも話が決まっちゃう感じ。

ある時、お店に出勤する途中、ラインが鳴った。
「今日はお客さん少なそうなのでシフトカットでお願いします」

はあ?と思った。
当日どころか直前になっての連絡に腹が立ったが、
次第にそんなことが増えていき、
オープンして1ヶ月も経たないうちにほとんど私のシフトは無くなった。

こうなるとお金が稼げなくなって困るため、
私は別のバイトを掛け持ちすることにした。

数日後、新しいバイトに向かう途中、焼肉店の店長からグループラインで「来週のシフトをお願いします」とのラインが来た。
新しいバイトのシフトを確認してから返事を送ろうと思ってスマホを閉じた。

バイト後、ラインを開くと、
「一部のやる気のないスタッフのせいで不愉快な思いをさせてしまいご心配おかけしました。残りのメンバーは気持ちを切り替えて、今後もよろしくお願いします!」のメッセージの後、
私と数人のスタッフはグループを退会させられていた。

反論する気にもなれず、お給料をもらうこともできないまま、私はそのバイトを辞めた。

…ということを、何年かぶりに思い出してその焼肉店の名前を検索した。
グルメサイトのレビューは1件のみで、ステータスには「閉業」の文字。

Instagramのアカウントが連携されていたため飛んでみると、
オープンから1年経たずくらいの投稿で「この度、誠に勝手ながら一旦閉店することになりました。心機一転、駅前でピザ屋をオープンする予定です」とのこと。

誰か知らないアカウントの「笑える」というコメントに対して、店長は「あざした笑」とだけ返していた。

誠に勝手ながら…
全くその通りだよ。

こういう人たちでも、いつかの就職活動や転職活動では「20代前半にして起業した経験があり…」とかなんとか大そうなことを言うんだろうか。

労基に相談するなんて入れ知恵はなかったので当時は何もできなかったが、
今の私だったら絶対役所を頼ってお給料だけはぶんどっていたことだろう。

まあこんな労働環境、社会人ではあり得ない。
では何故当時あり得たかというと、私たちが大学生やフリーターだったからだ。
つまり、完全に舐められているわけである。

社会人になった人からそこそこ聞くことがあるが、
「バイトよりも正社員の方がよっぽど楽」、その通りだと思う。

ブラックバイトにまつわる思い出はまだいくつかあるが、
今日は日記なのでこのくらいで。

大学生の皆さん、タウンワークやマイナビバイトに載ってるからといって、全部がまともなお店なわけではありません。
労働環境におかしいと思うことがあったらすぐ辞めた方がいいし、
お給料のことで困ったら労基の無料相談に行くと良いですよ。

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