大深温泉
噂の秘湯『大深温泉』(おおぶかおんせん)をご存じですか。数年前、乳頭温泉の鶴の湯で出会ったお年寄りに教えてもらって、それからずっと行きたいと思っていた。
大深温泉は八幡平に所在する数多くの大物温泉の中でも、温泉ファンから強い支持を集めているが、歴史は比較的新しい。八幡平最古の湯として300年以上の歴史を誇る「ふけの湯」とはアスピーテラインをはさんで、反対側の谷筋に位置する。
この日、藤七温泉での入浴を終えて、藤七温泉から八幡平頂上へ向けて走行していた。
濃霧の中、上り坂を慎重に進む。9月中旬というのにえらく寒い。
標高1,541メートルの見返峠(みかえりとうげ)に着いた。秋田県と岩手県の県境である。
みちのくの夏は短い。9月中旬の八幡平頂上付近は、既に秋というより冬である。気温は摂氏4度である。マジですか。
少々暖をとった後、大深温泉へ向けて出発だ。濃霧の中、ライトを点滅させながらアスピーテラインを慎重にダウンヒル中である。
走行すること約20分、湯けむりが見えてきた。道路の右にも左にも湯けむりである。おそらく左が大深温泉、右が蒸けの湯であろう。
大深温泉入り口に着いた。ここから急坂を500メートルほど下っていく。
着いた。コテージ風のこの建物は管理棟である。ここで日帰り入浴のお願いをする。
位置づけとして完全に湯治施設である。宿泊棟はオンドル小屋のみ。八幡平の温泉といえば、かつては東北の農閑期のお百姓さんたちが集う湯治場であった。自炊しながらオンドル小屋で長期逗留するのが基本スタイルだったらしい。時代の流れと共に他の著名湯治場が大規模化・観光地化していくなかで、ここ大深温泉は頑なに伝統的な湯治場スタイルを貫いているところが好ましい。冬季休業。
お風呂はこちらである。
期待感が高まる。
いぬぶか温泉ではなく、おおぶか温泉である。
素晴らしい。この色、この肌触り。乗鞍のせせらぎの湯を思い出すが、酸性度がさほど強くなく、やさしい感じだ。
湯量豊富である。源泉温度が摂氏77度と高温なため加水しているが水自体も上質の湧き水なので浴感は極上である。私一人なので加水量をぐっと絞り込んでみる。どんどんアツ湯になってきた。
極楽極楽。
窓から見えている建物はオンドル小屋だ。地熱を利用した床暖房である。二棟ある。
源泉はここと。
こちらの二箇所らしい。先ほど八幡平アスピーテラインから見えていた湯けむりはこちらのものだろう。
オンドル小屋をのぞいてみた。これは興味深い。
オンドル小屋の横に炊事小屋がある。冷蔵庫はなく天井からモノを冷たい湧き水の中に吊るしている。ここの湧き水は飲むと最高においしい。
これぞ、みちのくの湯治場である。機会があればオンドル小屋に長逗留してみたいものだ。・・・
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上記は過去ブログを再構成したものだが大深温泉を早く再訪したいものだ。