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切明温泉 雄川閣

或る年の春、秋山郷・切明温泉へ行ってきた。

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秋山郷とは信濃川の支流である中津川上流に位置する越後の八集落及び信州の五集落の総称だ。東を苗場山、西を鳥甲山に挟まれた深い谷に所在し、外部との往来が不便で、冬は完全に雪に閉ざされる豪雪地でもあったことから、独特の生活習慣が長い間残されてきた真の秘境である。平家の落人伝説でも有名だ。文治年間(1185~89)に、平勝秀が源頼朝に敗れ、その一族が草津より逃れて、屋敷村(信州側集落の一つ)に住みついたと伝えられている。切明温泉はそんな秋山郷の最奥に位置する。

[走行データ]
距離 59.51 km
最大標高差 1217 m
平均斜度 全体 -2.1% 上り 5.3% 下り 5.1%
獲得標高 上り770 m 下り1977 m

日帰りは困難なエリアだが、二つほど方法がある。いずれも山の反対側からのアプローチだ。一つは湯田中駅から奥志賀まで路線バスで輪行、そこから奥志賀林道と秋山林道を通って秋山郷最奥の切明へ。もう一つは飯山駅から自走でカヤの平経由、秋山林道を経て切明へ。今回はカヤの平林道が閉鎖中なので奥志賀ルートを採用した。

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注意:奥志賀林道・秋山林道は冬期(11月上旬~5月下旬)通行止めですが、崩落等で通行規制・通行止めとなることもあります。事前の問合せ(北信建設事務所0269-22-3111)を推奨します。規制に従って下さい。

ブロンプトンで秋山林道を往く。舗装状態は良いが、崖上からの落石と路面の石に注意だ。

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気持ちの良い新緑の林道を行く。

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大雪渓だ。この雪が完全に消えるのは7月後半だという。

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最後に橋を渡って中津川を越えると切明温泉(きりあけおんせん)に到着だ。

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これが雄川閣だ。切明には『雄川閣』と『切明温泉リバーサイドハウス』の二つの温泉宿がある。今日は秘湯の雰囲気のある『雄川閣』にしよう。ちなみにリバーサイドハウスの方ではスコップを貸してもらって川原で掘ると温泉が湧きだすのでマイ秘湯を楽しめる。

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猿が訪ねてくるほど、山奥なのである。

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受付を済ませて早速風呂へ。

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素晴らしい湯を独占である。

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渓流に面した浴室の窓から新緑を眺めながら極楽極楽。

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露天風呂はまるで野湯のようだ。湯船から美しい急流のワイルドな眺めである。これぞ秘境の湯だ。

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切明温泉は雑魚川と魚野川(*)が合流して中津川となる地点にある。江戸中期にこの地を差配していた箕作村の名主島田三左衛門が開発した(切り明けた)と伝えられる。しかし江戸後期に水害で宿が流されたきり復旧されなかった。それから250年を経た1972年、栄村村営の宿として雄川閣が営業を再開した。雄川閣と切明リバーサイドハウスの二軒の秘湯宿がある。[(*)野反湖から流出する別名千沢。魚沼市を流れる魚野川とは異なる。]

尚、秋山郷にはほかにも小赤沢温泉、屋敷温泉、和山温泉、逆巻温泉、津南駅の駅ナカ温泉など名湯・秘湯・珍湯があるので、情勢が落ち着いたらぜひ訪れたい。