見出し画像

大平温泉(おおだいらおんせん)滝見屋

ブロンプトンで大平温泉(おおだいらおんせん)滝見屋を知っていますか。

[走行ルート]
関根駅→滝見屋本宅→大平温泉駐車場→大平温泉滝見屋
距離 18 km
最大標高差 928 m(!)
平均斜度 全体3.9% 上り7.3% 下り8.8%
獲得標高 上り933 m 下り203 m

大平温泉(おおだいらおんせん)は最上川の源流最奥の深い渓谷に佇む秘湯だ。米沢八湯の一つでもある。平安時代に修験道の行者が発見したと伝えられるからその歴史は1000年以上だ。江戸時代には広く知られるようになり、かの上杉鷹山もここに清遊した。滝見屋の開業は江戸時代の享和元年(1801年)、今の経営者家族のご先祖様がこの地に浴舎をたてた時とのことである。

アクセスが非常に困難なことで有名だ。吾妻連峰の山麓にある李山地区(すももやま)から最上川沿いに暫く進むが、途中でつづら折りの細くて険しい崖道を、対向車が来ないことを祈りつつ、ひやひやしながらのぼっていかねばならない。また、この秘湯の宿は断崖に囲まれた渓谷の底に位置するため、車で直接たどり着けず、崖上に設けられた猫の額ほどの駐車場から、修験者のためにつくられたような荒々しい急坂(標高差150メートル以上)を徒歩で13分ほど下っていった上、最後の最後に5人以上が同時に通行すると危険との警告がなされた吊り橋を渡って、漸く到達するという究極のロケーションである。当然ながら、復路は険しい上り坂となるので、体力に自信のない向きはやめておいた方がよいだろう。

標高差は900メートル以上、最高点までの距離は15キロないから単純計算でも6%。だが斜度の推移をみると、前半ユルユルで後半になって突然尻あがりに増大していくというとんでもないコースである。

ブロンプトンでは、新幹線で福島駅までいってそこで在来線に乗り換え、最寄りの関根駅で下車する。米沢駅までいってしまうとさらに標高がさがってしまうので、多少なりとも関根駅の標高を活用しようという目論見だ。

画像1

関根駅からはまず李山にある本宅に立ち寄るのが良いだろう。旅館を所有・経営するご家族の本宅であり、滝見屋の案内所を兼ねている。また、ここからまっすぐの道となるのでわかりやすい。さらに、立ち寄っていれば万が一遭難したときに多分気付いてもらえると思う・・・。(コワイ)

画像2

最上川を渡る。秘湯はあのかすんだ山並みの向こう側、この川の最上流の「火焔の滝」の脇にあるという。

画像3

最初はどうということはない山道だ。エゾハルゼミの蝉時雨が耳に心地よい。また、驟雨のあとだったので鰍蛙の声も聞こえる。

画像5

基本的に一本道なのでわかりやすく、迷う心配はない。分岐に差し掛かってもこの通り、表示がきちんとある。そもそもこの先には大平温泉滝見屋しかない。

画像11

徐々に山深くなってくる。斜度も上がりつつあるが、未だ対応できる程度であり、ここまでは事前にチェックした標高差があるとはとても思えない。900メートル以上の標高差とすればこの先想像を絶する斜度となってしまう計算だ。あのデータは何かの誤りだったのではないかとの楽観的な考えが頭をよぎり始める。

画像11

しかし、そんな楽勝なことがあり得るわけがない。想像を絶する激坂の始まりだった。

画像6

ひええー。苦しい。ふと左下を見ると、今しがた通ったはずの道が既にかなり下の方に・・・。道理で足が攣りそうになるわけだ。

画像7

落っこちたら死ぬ。

画像8

あと3キロの表示。

画像9

坂もきついが、道、急に細くないですか。遠近法による目の錯覚ではありません。

画像10

まだ2.7キロもあるの?おかしい。あれだけ上ってきたのに、距離へってなくない?一体いつまで続くの、この坂。

画像14

猿とかかもしかの出迎えは全く不要です。

画像12

しかし明けない夜がないように、終わらない坂もない。ようやく峠が見えてきた。

画像13

標高1200メートル地点。名無しの峠だ。今回のコースの最高地点となる。しかし、これで終わりではないのである。ここからは砂利の下り坂だ。

画像15

幻想的な秘湯への道だ。

画像16

ようやく谷底にある赤い屋根の滝見屋が見えてきて、ほっとする。

画像17

(続く)