ブロンプトン改造その4 理想的なギア比を求めて
今日は少々マニアックな話である。ブロンプトンの理想的なギア比について語ることにしたい。
ブロンプトンのギア比は標準セッティングで以下の通りとなっている。(ペダル一回転で進む距離。単位:メートル)
いずれも良く考えられていると思う。但し、ブロンプトンの基本セッティングは、あくまでも本国イギリスの地形(比較的フラット)とイギリス人の体力(男女ともに屈強である)を標準として設定されたものだ。
実際に日本で乗ってみると、地理的条件(多くの場所に坂がある)と日本人の平均的な体力の問題で、ハイギア(3速モデルの3速、6速モデルの6速)のペダルが重すぎて使いづらいと感じる方も多いようだ。そのため、販売店では、M3LやM6Lモデルの場合、当初からチェーンリングを標準の50Tから44Tに変更することをアドバイスしてくれるところもあると思う。
私もこれまで試行錯誤してきた。初号機(M3L)の場合、チェーンリング50Tから44Tに変更したのち、リアスプロケットを13Tから15Tに変更(坂道仕様)、さらに、ブロンプトン登山や峠越えの際にはチェーンリングを38Tに付け替える(坂バカ仕様)ということもやってみた。
二号機(S2L→S2E半分チタン)の場合、レース特化ということで、BWC用にチェーンリング54Tからサードパーティー製の56Tに変更、また、マウント富士ヒルクライム用にギア比を軽くするためにチェーンを短めのものに変更してチェーンリングを38Tに付け替えてみたりした。
それぞれの機体に最適のギア比を求めて、最近取り組んでいるのは、BWR化とスプロケット変更である。
スプロケットの付替えは簡単だ。後輪をはずして、スプロケットを固定しているロックリングをマイナスドライバーでちょんとやれば、簡単に脱着できる。(作業前に油を拭き取ったうえで作業中は工業用や園芸用の手袋を使うとよい。)
3速モデルの場合、標準のリアスプロケット13TをSturmey Archer(スターメーアーチャー)製の15Tに換装すれば、それだけで15%ほどペダルが軽くなる。なお、15Tより大きい歯数のスプロケットは装着できない。(正確には加工しないとつけられない。)
2速モデルの場合、標準のリアスプロケット組み合わせ12T/16Tを、やや軽めの純正スプロケットセット13T/16Tに変更することがオススメである。なぜならば、6速モデルで13T/16Tが使用されているので、これを転用すればよいのだ(ジャンクションに行けば在庫があると思う)。また、内側リアスプロケットとしてシマノの15Tを転用できることが確認されている。(シマノ14Tも工夫すれば付きそうなのだが、まだ確認していない。)
BWR化は、M3Lのスターメーアーチャー社製3速リアハブ(以下SA3と表記)を6速モデルに使われているブロンプトン専用のスターメーアーチャー社製3速ワイドレンジリアハブ(以下BWR3と表記)に変更する。そうすると、シフターケーブルやチェーンなどを変更することなく、上下に幅広い変速域を確保できるようになる。
それでは具体的にどんな仕上がりになっているか、一号機(M3Lブラックエディションもどき)と二号機(S2E半分チタン)のセッティングをご紹介しよう。
1.一号機(3速):BWR化、坂バカ仕様
BWRの広めのギア差セッティングを活用し、急坂の登攀能力とフラット若しくは下りでの高速走行の双方を可能とした。
なお、私のM3Lは2008年モデルなのでチェーンはシングル用の1/8チェーンとなっており、リアスプロケットは厚歯である。したがって耐久性が抜群だ。今後も山や雪道で手荒に使うことが想定されるため、薄歯・3/32チェーンに変更するつもりはない。
もちろん、標準のSA3も残してあるので、フツーに乗りたくなったらこれに戻す。その場合チェーンリング44T、リアスプロケット15Tがベストと思う。
2.二号機(2速):ハイスピード仕様
レース用にチェーンリングは54T→56Tに変更してある。ブロンプトンの折り畳み機能を加工なしに維持できるチェーンリングサイズとして56Tが最大サイズとなる。
リアスプロケットについては12Tが最小サイズとなる。(但し加工すれば11Tがつけられるらしい。)
標準の12Tと16Tの組み合わせだと、BWCのような高速巡航のレースではローギアの16T側を使うチャンスがほとんどない。一方で12T/13Tだと、素人の足にはその違いがほとんど判らないので意味がない。(上位入賞を狙っているような方はその限りではない。)
したがって、決戦用には12T/14T若しくは12T/15Tがオススメとなる。私の場合、レース用ホイールを12T/15Tとし、ゆるポタ用としてスペアを13T/16Tとしている。
3.三号機(6速モデル):標準セッティングから変更なし
6速モデルは完成度が高い。特にオーストラリアの長距離トレイルには最適であった。オーストラリアならではの数キロに及ぶ緩やかなダウンヒルには6速モデルのトップギア(一漕ぎ7.94メートル)が最高であった。
三号機(M6L-X)の場合、チェーンリングは50T、リアスプロケットは12T/16Tの標準のまま。日本での利用ではトップギアはあまり使う場面がなさそうだが、全体としてバランスがとれており不便を感じないので、変更の予定はない。なお、昨年9月にリリースされたEXPLORER EDITIONは6速ながらフラットハンドルで、登坂能力の強化のためにチェーンリングが44T化されていた。3速モデルの一号機になにか支障あれば、三号機のチェーンリングを44T化して、坂仕様に振ってみることもあり得る。
当面はこんなセッティングで3台の愛機をそれぞれの目的に活用していこうと考えている。
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なお、ブロンプトン純正品以外のパーツを流用した仕様変更は決してブロンプトン社や正規販売店が推奨するところではありません。あなたの魔改造の世界への入り口になってしまう可能性があります。今後のあなたのブロンプトンライフにおいて多大な時間浪費と莫大な金銭消費の危険が伴う可能性があることを十分理解の上、自己責任でお願いします。