ふなりっと奥奥温泉
式根島の秘湯巡りをしてきた。
ふなりっと奥奥温泉とは、式根島にある年に数回の大潮の干潮時にしか現れない幻の島秘湯である。幸運に恵まれなければ出会うことはかなり難しい。
朝8時、さるびあ丸で式根島に着いた。港から最初に目指す秘湯は『地鉈温泉』だ。
[走行データ]
距離 10.55 km
最大標高差 103 m
平均斜度 全体-0.2% 上り3.8% 下り4.8%
獲得標高 上り177 m 下り194 m
最初に訪れた地鉈温泉(じなたおんせん) は、想像を越えたダイナミックな地形で我々を圧倒した。
しかし、地鉈温泉で驚いていてはいけない。式根島にはさらなる超絶秘湯がある。たまたま大潮の日に当たったゴールデンウィーク中日(なかび)の本日、もし我々に運があるのならば、地鉈温泉 を遥かに上回る「まぼろしの秘湯」に入ることができるかもしれないのだ。
その秘湯とはマニアの間で、『ふなりっと奥奥温泉』(または『奥ふなりっと温泉』)と呼ばれている。
有名な足付温泉の少し先に旧くは『舟入湯』(ふなりっと)と呼ばれた「ふなりっと温泉」があるが、ふなりっと奥奥温泉とは、さらにその「奥の奥」の荒磯に位置していると云う。まるで海に浸かっているような、日本で屈指の絶景温泉という噂だ。但し大潮の干潮時しか入れない。しかも、通常の大潮ではなく極端に潮が引く大潮の時にのみ海面下から現れて、湯船が適温になるという話である。通常は荒磯の海に完全に水没しており、年に数回しか入れない「幻の温泉」ということで、レア度はマックスだ。
地鉈温泉を後にした我々は、一旦、崖の上まで階段を上がり、そこからブロンプトンで来た道を7~8分ほど戻り、式根温泉憩いの家があるところからよく整備された小徑を足付温泉の方向へ下っていく。
海岸に着いた。ブロンプトンたちはここに停めて、磯辺を右手の方へ進んでいく。
最初に「足附温泉」発見。足付温泉は無色透明なお湯が沸く磯辺の温泉で、泉質はナトリウム・塩化物強塩温泉。切り傷、擦り傷などの外傷の他、筋肉痛、冷え性、痔、皮膚病に効能があるそうだ。地鉈温泉の「内科の湯」に対しこちらは「外科の湯」と呼ばれ、医療機関がなかった頃には病状によって使い分け、まさに島民の命の泉だったそうだ。歴史があるのである。
ふなりっと温泉のいくつかを発見!正式名称は「山海の湯」。潮が引いてしまっているので源泉が濃く、アツ湯である。さらに先へと進もう。
それにしても凄い岩場である。伝説の秘湯はホントにあるのか?手を怪我しないように軍手をして進む。
岩場を越えると美しい磯辺にたどりついた。人の手で石が並べられているようにも見えるが・・・幻の海中温泉とは、もしかして、これなのか。
ブロンプトンで秘湯へ行こうセカンドシーズン。秘湯を求めて式根島の海岸へ来ている。美しい磯の風景ではあるが、幻の海中温泉とは本当にこれなのか。半信半疑でいると。
みるみるうちに潮位が下がり、『ふなりっと奥奥温泉』が我々の前に忽然とその姿を現したのであった。
見ると、そこら中から、ブクブク、どばどばと新鮮なアツ湯が湧き出している。湯は透明で、足付温泉と同じ、塩化物泉と思われる。
自然の造形美。そして、まさにこの数十分しか存在しないまぼろしの湯である。アツ湯、ヌル湯、そして寝湯と好きな岩風呂を選ぶことができる。
強い日差しを浴びながら、天然の岩風呂で奇跡の秘湯体験だ。
我々は本当についていた。たまたまやってきた式根島で、年に数度しか現れないという伝説の秘湯を最高のタイミングで訪れるという幸運に恵まれたのだから。天気も最高だ。
思わずつぶやく。「島の神様ありがとう。」
(注:五年前の話です。緊急事態宣言は解除されましたが、未だこういう時期ですので緊急の事由がない限り不用意に離島へ行くのは止めましょう。)
[走行データ]
距離 10.55 km
最大標高差 103 m
平均斜度 全体-0.2% 上り3.8% 下り4.8%
獲得標高 上り177 m 下り194 m
皆さん、ご愛読ありがとうございます。とっておき秘湯シリーズ、緊急事態宣言が出た日に開始して、本日で53本目(38湯目)となりました。
緊急事態宣言が5月25日をもって解除されたことに伴い、とっておき秘湯シリーズ秘湯記事の毎日更新は本日までになります。今後は2~3週間に一回程度の新記事掲載を予定しています。
引き続きよろしくお願いします!