北温泉 その2
(北温泉の続き)
もうすぐ北温泉だ。
猛吹雪の中、カップルさんが徒歩で行く。こんな日にバス停から1キロ歩いてあの秘湯を目指すなんて、とても素敵な二人だ。
最後の細い坂道を下る。北温泉に何度か来たことがある方でも、この風景はなかなか見たことがないのではないだろうか。この坂が凍結すると大変なことになりそうですが。
着いた。
雪の北湯は本来の秘境の宿の佇まいを取り戻していた。四駆でもためらうようなこの吹雪の中、午前中から立ち寄り湯に来るモノ好きはそうそう居ないだろう。私にとっては大チャンスである。
受付を済ませて早速、『天狗の湯』へ行こう。ほらね。
冷たい風が外から流れ込んで、湯屋の中で湯気が渦巻いている。湯気抜きから吹雪が吹き込んでいるせいだ。アツ湯なのにこの適度な冷気のおかげで快適に長風呂できる。
長湯ができて極楽極楽。
源泉はすぐ横の崖から湧き出しており、それを直接大量に掛流しだ。そうだ、いつもの炭酸水を飲もう。
天狗の湯たる由縁の天狗のお面には大・中・小がある。
すると子天狗たちが乱入してきた。鄙びた秘湯には腕白小僧たちがよく似合う。
およそ二時間もの間、この『天狗の湯』に入っていた。大満足である。そろそろ帰るとするか。
外の雪はまだ降り続いていた。