鹿沢温泉紅葉館
鹿沢温泉紅葉館は温泉通に人気の秘湯の宿である。
但し、群馬県の最奥といってよい辺鄙なところにある。辺鄙なところにあるから秘湯なのだが、ブロンプトンで行く場合、JR吾妻線の万座鹿沢口駅から急坂を17キロいく必要があり、それ故、東京からは始発でいったとしても到着が11時半頃になってしまうことが問題であった。日帰り湯で何とか朝いちばんで入りたい。
そこで、思いついたのが長野県からのアプローチだ。群馬県の最奥にある鹿沢温泉はあと3キロ山道を行けば県境を越える(長野県東御市)。そこには「湯の丸スキー場」がある。スキーシーズンならばスキー場への路線バスがあるはずだ。スキー場から湯の丸峠(地蔵峠)越えのヘビーな雪道となる訳だが、天候さえ許せばスパイクタイヤ 装備のブロンプトンで大丈夫だろう。
調べてみると、スキーシーズンの週末に限り、北陸新幹線の佐久平駅から湯の丸スキー場行きのバス便(千曲バス)があった。都合のよいことに、佐久平駅8時発、湯の丸スキー場9時15分着である。鹿沢温泉紅葉館の日帰り湯は朝10時からなので、湯の丸スキー場から約3キロの雪道をブロンプトンで慎重に走ると丁度その時間となりそうだ。群馬廻りよりも圧倒的に早く着く。これで行こう!
[走行データ]
距離 20.6km (湯の丸~紅葉館3キロ、紅葉館~万座鹿沢口駅17.6キロ)
最大標高差 980m
平均斜度 全体-4.7% 上り3.5% 下り5.8%
獲得標高 上り26m 下り998m
新幹線で佐久平駅に着いた。湯の丸行きの8時のバスに乗り込む。
途中のバス停にとまるたびに、小学生が続々とバスに乗ってきた。毎週末、小諸市内から湯の丸スキー場のスキー学校へ通っている子供たちだ。今日はジュニアスキー検定の日だったらしい。
湯の丸スキー場に着いた。大勢の方々が朝から楽しそうにスキーをしているが、ゲレンデをブロンプトンで滑る訳にはいかない。先を急ごう。
すぐのところに長野と群馬の県境がある。鹿沢温泉はここから僅か2.8キロの距離だ。ここからずっと下りである。
雪山讃歌が頭の中をグルグルするような素晴らしい雪景色だ。
あたり一面の雪だが、リゾート地への車通りを確保するためか、除雪がきちんと行われており路面のコンディションは良い。従って、シュワルベ・ウインター を装着したブロンプトンで気持ち良く走ることができる。間もなく紅葉館が見えてくるはずだ。
雪に覆われた紅葉館の旧館だ。大正時代の建物だが、今は蕎麦処兼日帰り湯の受付・入口として使われている。
鹿沢温泉は江戸中期から大正初めにかけて大いに栄えた。しかし大正7年に二度の大規模な火災で壊滅したあと、紅葉館は元の鹿沢の地に再興したが、紅葉館以外の宿は3~4キロほど下った地点で「新鹿沢温泉」として鹿沢の源泉から引き湯して再出発することになった。
ブロンプトンをたたんで、玄関の脇に邪魔にならないよう置いておく。
雲井乃湯だ。名湯である。
壁のレリーフが神秘的だ。
湯船の縁から溢れだす湯。
いつもの炭酸水を飲もうか。
雲井乃湯はまたしても素晴らしい秘湯体験をさせてくれた。それでは、そろそろ例の湯へ行くとするか。