市場動向|院内市場から押し出された後、先発医薬品の先行きはどこにあるか②活路は院外市場にある
新薬開発企業は、院内市場から排除される問題に対して、異なる対応をしています。
市場からの撤退:一部の先発薬企業は、薬品の中国市場からの撤退を選択しています。例えば、イーライリリーの「ストラテラ(塩酸トモキシテンカプセル)」と「プロザック(塩酸フルオキセチン分散錠)」は、すでに中国市場での供給を停止しています。
権利の譲渡:一部の企業は、特許が切れた先発薬の権利を中国の企業に譲渡し、核心ビジネスを新薬開発に集中させています。例えば、日本の第一三共は、2022年に先発薬「タリビッド(オフロキサシン)」の製造・販売権を上海復星医薬に全て譲渡しました。
ビジネスの売却: また、ラコサミド注射が最近の第九回集采リストに入りました、ラコサム市場が大きく変動しました。UCB(ユーシービー)社は以前市場シェアがほぼ100%に達していた「ビムパット(ラコサミド注射液)」のビジネスを直接売却しました。これと共に、UCBは自社の「レベチラセタム注射液」、「セチリジン塩酸塩錠」、「レボセチリジン塩酸塩錠」などの集采で落選した先発薬も一緒に売却しました。
多くの先発薬にとって、院内市場を失ったからといって、その薬が完全に生命を失うわけではありません。院外市場においては、依然として機会が存在します。
美国、日本、英国などの先進国の経験を参考にすると、医薬分業はほぼ今後避けられないでしょう。中国の近年の医薬産業政策改革を見れば、医薬分業を推進しようとしているのがわかります。
院外市場の主要な部分は、小売の薬局です。中国における医薬分業の大きなトレンドに伴い、医薬品の小売市場、特に医療用医薬品の小売市場には、劇的な変化が訪れると考えられます。
日本の医薬分業改革は、中国にとって非常に参考になる事例です。日本も歴史的に「医療を薬で支える」問題に対処するための長期的な取り組みを行っており、「医薬分業」はこの不合理な状況に対する解決策として導入されました。日本の薬剤師会のデータによれば、1986年から2023年にかけて、日本の院外処方箋受取率は9.7%から80.3%にまで上昇し、医薬分業が実現されたことが示されています。
医薬分業は、院内市場を失った先発薬にとって、院外市場の拡大に大いに役立つでしょう。日本では、患者が医院で処方箋を受け取り、その医療用医薬品を近くの薬局や指定の薬局で購入する習慣が確立されています。この流れにより、薬局の数と薬剤師の数は1990年代から急速に増加し、2020年には薬局の総数が6.1万軒、薬剤師の人数が約24万人に達しました。中国でも、小売薬局の成長がこのトレンドに一致しています。米内網のデータによると、2016年から2023年にかけて、中国の小売薬局の薬品販売額は3375億元から5533億元に増加しました。また、グオレン証券の予測によると、2023年の5533億元から2030年には8887億元に増加する見込みです。
中国では、医薬分業が院外市場の急速な成長を促進しています。フロスト&サリバンの調査レポートによると、中国の薬品院外市場の規模は、2017年の4311億元から2022年の7392億元へと増加しました。
医薬分業と院外処方箋受取による院外市場の急速な成長を背景に、小売市場の販売構造も変化しています。現在、医療用医薬品の小売市場におけるシェアは、非医療用医薬品を超えており、患者は院外で医療用医薬品を購入する習慣が徐々に定着しています。また、最近急成長しているO2O(オンライン・ツー・オフライン)市場においても、医療用医薬品の占有率が急速に上昇しています。
まとめると、中国の医保支払い改革や集采などの改革措置は、先発薬に対して明確な方向性を示しています。院内市場では最も基本的な医療保障が提供されており、患者が差別化された医療サービスを受けたい場合は、院外市場でそれを手に入れる必要があります。
特許期間が終了した先発薬が価格を大幅に引き下げたくない、またはわずかにしか下げたくない場合、患者に「基本以上」の差別化された医療サービスを提供する必要があります。そのため、高価格の先発薬が実現できる唯一のチャネルは院外市場です。言い換えれば、院外市場を注力することは、特許期間が終了した高価格の先発薬にとって必然的な選択となります。
(つづきます)