(90)良質なストーリーと新鮮なゲーム体験が味わえるSANABI クリアレビュー
2023年11月に韓国のインディー会社WONDER POTIONより発売された「sanabi」をクリアしたので、レビューしていきます。
ジャンル
ワイヤー2Dアクション
クリア時間
約8時間(難易度ノーマル、ストーリークリアまで)
良かった点
アクション性・操作性
本作はワイヤーを使ったアクションゲームですが、そのゲーム体験が新鮮で、操作性もよく、キャラクターを動かしているだけで爽快感がすごくてとても面白かったです。
私はキーボード&マウスでプレイしていましたが、最初に操作を覚えたら、それ以降はそこまで難しい要素はなく、すごく遊びやすいゲーム性だと思いました。特に感心したのが、マップ表示がないのに次にどこに行くかが直感的に分かるマップ構造な点です。そのため、プレイ中ストレスを感じる箇所がほとんどなかったです。
ストーリー
ジャンルはアクションゲームですが、ストーリーにすごく力が入っていて驚きました。予想できない展開が続き、めちゃくちゃ没入感がありました。始めの方は、アクションパートの合間に長めのストーリーパートが入るのがすごく煩わしかったですが、ゲームを進めるにつれてストーリーの方が読みたくなっていました。
ドット表現
本作はドットのゲームで、キャラクターの表情から背景まで緻密なドットで描かれています。背景の美しさや機械兵器のかっこよさ等、見ていて楽しいゲーム画面が素晴らしかったです。
不満点
先述のとおり素晴らしいゲームなのですが、一か所だけとあるボス戦が本当に難しく、理不尽に感じました。というのも、ただでさえボス戦の足場が限られているのに、敵の攻撃によって足場が崩れてしまうため、基本的にゲームオーバーになる要因が落下死で、体力が全く関係なく、すごく理不尽に感じてしまいました。
総評
スコア
90/100 非常におすすめできる作品
こんな人におすすめ
新鮮なゲーム体験を求めているひと
質の高いストーリーも求めているひと
steamで圧倒的好評を獲得している本作。プレイしている人が皆「サンナビはいいぞ」と言うので、プレイ前からかなり期待していましたが、想像以上の出来で、私もいつしか「サンナビはいいぞ」おじさんになっていました。セール期間中は¥1,000を切る価格設定なので、非常にコスパの良いゲームでした。
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※ストーリーネタバレ感想
サンナビに娘を殺された復習をするため父親が奮闘するという王道ストーリーかと思ったら、道中出会ったマリと会話するうちに、そもそも主人公って何者なのか、母親について一切言及されてないのはなぜか、とどんどん怪しいところが出てきて、マゴ社の人格データの保存技術の話が出てきたときになるほどなと思いました。
主人公はすでに亡くなっていて、ロボットに人間の人格を植え付けた存在で、娘がサンナビに殺されたのも作られた記憶であって、本物ではないというのは驚きました。作られた記憶の中でも、人間時代に交流のあった軍隊の人間との記憶は残っていたため、大佐や少佐との再会&共闘はすごくアツかったです。ペグ少佐がカッコいい女性でありながら、慈愛に満ちた存在ですごく好きになりました。
敵役として登場したマゴ社も実は朝廷の圧政に反逆する思いで、都市そのものを破壊しようと画策していたのはすごく納得できました。
終盤は娘のマリの独白を通して、ストーリーの解説がとても丁寧だったのもすごくよかったです。サンナビが、母から娘へ、娘から父へ送られた思い出の曲だったのは、すごくよい演出だと思いました。最後のスチル絵がすごく印象的でした。
ストーリーの終わり方的にマリが主人公の次回作もありそうな気がして、WONDER POTIONの次回作がいつ来るのかすごく楽しみです。