【事務長業務実践書を作成してみる】(番外)電子カルテの導入について
1.IT導入支援という業務
多くの病院では、電子カルテ(以下、電カル)について導入済みか導入準備を進められているかと思います。政府の動きもあり、「導入しないリスク」となっている感もあるので、導入の是非については、横に置いておきます。
IT導入について業務及びコンサルで長年上流工程(課題解決企画、業務への適用検討、パッケージシステムの評価(FIT&GAP)、要件定義、基本設計、導入前教育企画、導入フォロー)に携わってきました。
そこでは、自身の経験の無い業務でも短期間で課題をキャッチアップし、システムの適用範囲を検討し、実行課題と付き合いながら現場導入を支援してきましたので、医療業界に移ってもそのスキルは役に立っていると考えています。
2.電子カルテ導入における主な課題
医療業界でも電カル導入および活用支援・更新に関わってきましたので、電カル導入における業務運用上の課題は以下のようにとらえています。また、以下の課題は、電カルの導入時だけでなく、導入後の運用においても係る課題です。
R6年度の診療報酬改定で、診療報酬の評価が一層厳しくなったため、改めてこれらの課題が意識されている状況です。
⓪電カルは導入すれば、人件費が削減できる類いのシステムではない
電カルが普及し、電カルが魔法の箱ではないことは認知されてきました。しかし、安くない買い物であるので投資対効果は当然求められますので、直接効果・定量効果として人件費削減を求める気持ちもわかります。しかし、実際には減る業務もありますが増える業務もあり、直接的な人件費削減は期待できません。
電カルの導入目的は医療情報の活用による経営体制の強化と医業利益の維持向上です。違う言い方では、電カルなしでは国の求める施設基準や医療レベルを維持するのは困難になっており、金融機関や評価機構も電カルの導入を条件にしています。医療情報の活用がこれからの病院の基盤であるということです。
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