ハクチョウと埴輪

冬になると、鳥たちの動きが気になる。

虫たちや、両生類たちがあまり動かなくなるためだろうか。
まとめてたくさんの鳥を見たいときには、琵琶湖の野鳥観察舎に行くことが時々ある。
その昔、日本野鳥の会に所属していた職場の先輩に連れて行ってもらい、それ以来野鳥を見たいときにはここにきている。

ここでカモや、カイツブリなどの渡り鳥を観察する。
わざわざ観察舎まで来なくても、カモたちは、どぶのような水路で見かけることもあるし、そういう水路ではサギの仲間を見ることもある。
そのほかに私が田んぼで見ると言えば、ケリくらいだろうか。
 
そんな雑な野鳥観察者である私にとって、ハクチョウは特別な鳥。
だから、琵琶湖で見ることができると興奮したし、長野県の犀川でハクチョウが見られると聞くと、そのために安曇野まで足を運んだりしていた。
 
でも先日東北を旅した時、田んぼで普通に群れているハクチョウらしきものを見た。
サギではない。
水辺があるともっとたくさん集まっているけれど、何でもない刈り取りの終わった水田に、ハクチョウが5羽くらい集まっている。

何回かそういうことが繰り返される。
そういう風景は、初めてのことだった。

汽車から眺めているから、車の時のようにそこで車を停めて、ゆっくりと見ることができない。
いたと思っても、どんどん景色の中で後ろに行ってしまう。
それでも秋田周辺で何度か見かけた。
そして帰ってくるときに、岩手県内でも何カ所か見かけた。
群れで飛んでいく風景も見ることができた。
 
観察舎から、遠く望みながら見る鳥だと思い込んでいたハクチョウ。
そのハクチョウを、秋田県の人は、私がサギを見るような感覚で目にすることができている。
クマが出るのかという大変さもあるけれど、日常にハクチョウがいるという素晴らしさもある。

自然というのは、所変われば品変わるではないけれど、貴重と思い込んでいたものが、そうでもないこともあるということだ。
近所を歩いていて、ハクチョウが飛び立っていくという日常は、何とも豪華なことだ。
ぜひ今度は車で来て、じっくりとハクチョウを観察してみたいものだと思った。
 
岩手県では、もう一つ、絶滅したと思っていた貴重なものを見ることができた。
女子高生の埴輪ファッション。

スカートの下にジャージのズボンをはいている不思議なファッション。
一時期私の地方でも見かけることがあった。
寒さ対策で履いている高校生が多かったようだが、さすがにみっともないと思ったのか、最近は全く見なくなっていた。

ところが、この激レアな埴輪女子にも出会うことができた。
岩手県では、一度はやったまま消えずにいるのか。
今になってその流行りが来ているのかはわからない。

でも確実に、岩手の南部から、仙台のあたりでは生息を確認することができた。
汽車の中で履いているのを見たわけなので、学校の中ではもっとたくさんの埴輪たちが生息しているのかもしれない。
みっともなさよりも、懐かしい。

時と場合によって、人は同じものを見ても、いろいろな感じ方をするものだ。

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