田中将大が、楽天を自由契約になった
田中将大が、楽天を自由契約になった。
提示された年棒が思ったより安くて、もう期待されていないのだと思ったというのがその理由らしい。
私はそのニュースを最初に見た時、田中ほどの選手でもそういう時が来るのだという感想を抱いた。
一人のスポーツ選手が、全盛期を終えた。
でもまだ続けるつもりでいるなら、まだまだやれるのではないかと思った。
24勝ゼロ敗というような、漫画でも見たことの無いことをやってのけた選手。
楽天を一人前の球団に仲間入りさせてくれた選手。
その彼でも、いつまでも超一流ではいられない。
誰にでも終わりの時は来るのだ。
そんな風に思ってこのニュースを聞いた。
でもネットで書かれる田中選手に対する感想は、私の思っていたものとはずいぶん違った。
自分の立場をわかっていない。
日本に帰ってきた時に、ありえない年棒を出した楽天が、田中に勘違いをさせた。
1億円ももらえる選手ではない。
パワハラ疑惑もあり、そんな選手を受け入れる球団は日本中のどこにもない。
200勝まであと3勝に迫っている田中を入団させてしまったら、使いたくなくても田中を使わざるを得ない。
そんな貧乏くじを引く球団があるとは思えない。
散々な言われようだ。
立場を考えろ。
年棒に文句など言える成績ではない。
契約しようとしてくれたことに感謝して、そこで晩年を過ごさせてもらえばよかった。
そこがわかっていないから、こんな目に合うのだ。
愚かな奴め。
中には、ハンカチ王子、斎藤佑樹を持ち出して、今の斎藤と田中を比較した記事まであった。
現状を比較したら、斎藤の方がよほど立派だと言うのだ。
プロの世界で通用しなかった斎藤が、自分の居場所を見つけて、社会的に成功していることは素晴らしい。
でも今、活躍できなくなった田中と、斎藤を比べるのはあまりに失礼なことなのではないか。
自分がそんな風にして他人から比較されたら、どんな気持ちになるのか。
有名だからと言って、何を言われても耐えなくてはならないということではないだろう。
高校時代からスターで、スター街道を歩いてきた田中将大。
世間の常識から外れたところがあったとしても、そんなことは当たり前だ。
彼は普通の人ではない。
スターとして生まれ、多くの夢を、私たちに見せてくれた人。
田中が投げているのを見て、どのくらい力強さを感じたか。
人間業ではないピッチングを何度も見せてくれた。
その彼が肉体的に衰えて、思うように活躍できなくなった。
それでも今、一生懸命練習して、もう少し野球をやりたいと思っている。
実際、体調も悪くなくて、やれるだろうと思っている。
だとしたら、もう少し田中を応援してもいいのではないか。
日本の宝として、引退までの時間を見守っても罰は当たらない。
そのくらいスペシャルな選手だったと私は思っている。
プロは実力がすべてだ。
活躍できなくなったら、辞めていくしかない。
そういう厳しい世界だから、活躍した時は非常識なほどのお金を稼ぐことができる。
だから、辞めていく時は惨めでも仕方がない。
そんな雰囲気が蔓延している。
勘違いしている人間は許せない。
自分の身の程を知らない人間は、身の程を知るまで徹底して叩く。
本当にやめてほしい。
私は田中選手が、まだやってくれるのではないかと期待している。
夢を観させてくれた人を、もう少し大切にできないものか。