旅に出るぞ
寒波が来ている。
これから日本海側に、多くの積雪をもたらすだろうと言われている。
その最中。
私は計画に従って、東北に向かって旅立つ。
しかも、今夜の宿は新潟。
もしかしたら、新潟にたどり着くこと自体が難しいかもしれない。
そして新潟にたどり着けたとしても、その先の北海道までの旅程は、さらに困難になるかもしれない。
でも、この旅は、行き当たりばったりではない。
すでに行先の宿の予約は取ってあり、支払いができる宿については、支払いが済んでいる。
もう旅行の全日程は、私の中では確定している。
そうでないと、この北海道まで行って帰ってくるという日程を、実際に実行することが、可能かどうかを知ることができなかった。
調べてみると、最短の日程は4日。
でも途中にクッションを挟んだことで、今回の旅程は5日。
新潟。
五稜郭。
一関。
そして熱海での宿泊を予定。
最終的に、高山市までの5日間の予定。
特にここを見てやろうという計画はない。
鈍行で旅をつづけ、そこで暮らす人々の生活に思いをいたし、カメラでそれを撮影する。
ところどころで、うまいものを食べ、そして考える。
来年からの旅の前哨戦のようなものだ。
私は、どんなふうに旅に対して気持ちを盛り上げていくのか。
それを自分で確認していく必要がある。
私は基本的に面倒くさがり屋だ。
旅に出たい、まだ見ていないものを見たいと言いながら、何の準備もしなければ、何日でもぼんやりと動画を見て過ごしてしまう。
そして、その時間をそれなりに充実していたと思ってしまう。
でもそれではよくない。
やはり、身体を動かすことで、脳味噌を動かし、気持ちを動かす。
ぼんやりと景色だけを見ていないで、人間に出会い、人間をより深く知る。
旅を、ただ行った先の名称の記録ではなく、旅先で出会ったものの記録にしていく。
椎名誠の旅行記が楽しいのは何故か。
行った先が破天荒で、見たことの無い場所だったこと。
同行した人々との交流が描かれていること。
椎名誠という男が魅力的で、その旅のスタイルに憧れたからに違いない。
椎名誠の旅の記録を読むことで、私自身もまた旅の同行者の一人のような気持になっていた。
私が書きたい旅行記は、そういうものだ。
読み手が、私とともに旅をしているような気持になるもの。
私が見たものを一緒に見て、一緒に感じてくれるような旅の記録を書きたいものだと思う。
そのためには、私の心が柔らかくないといけない。
いろいろなものを見て、その見るものにフックを見つけられるようでないと、文章を書くことはできない。
まずは長野県を通っての、新潟までの旅。
前の時は、飯田線を上っていったが、今回は名古屋まで出て、その後は中央西線を上っていく。
ある意味19号線沿いの、私が比較的詳しいルートではある。
でもJRを使って旅をすることは、やはり私の中ではまれなこと。
あまり多くの荷物を持つことはできない。
最低限の荷物だけを持って、できるだけ快適な旅を展開したいものだと思う。
寒い季節。
何を持って、何を持たずに旅をするのか。
なかなかの課題が与えられている。