桂文珍の独演会を見た
11月30日。
有楽町よみうりホールで桂文珍の独演会を見た。
芸能55周年記念JAPAN TOUR
”一期一笑“というツアーの最終日、最終公演ということのようだった。
生の文珍さんを見るのは初めてだが、メディアを通しては彼の話を聞く機会は何度もありファンだったから、大いに期待していた。
会場のよみうりホールはビックカメラのビルの7階にある。
携帯のナビが無かったら、おそらく辿り着くことができなかった。
会場時間10分前に、ビックカメラの入り口のところまで行った時には、すでにエレベータ前に行列ができていた。
並ぶか歩くか。少し迷ったが、7階まで頑張って階段で登った。
会場までの時間、ビックカメラで時間を潰す。
午後3時開場。
午後3時30分からの公演はその日2回目の公演のようだったが、会場は2階席までいっぱいで彼の人気ぶりを感じさせてくれた。
私たちは、チケットを取りに行ったのが遅かったために、2階席の奥の方しかとることができなかったが、思ったより見やすい席で安心した。
生で落語を聞くのは30年ぶりくらいだろうか。
先代の円楽師匠がまだご存命だったころ、楽太郎さんと別の前座の人を連れて落語をしていたのを聞いて以来だ。
文珍さんの方は、落語界ではなく独演会と書いてある。
どんな構成になるのかと思ったら、まずは前座の話。
その後文珍さん。
三味線を持った女性の歌。
その後文珍さん。
休憩をはさんで文珍さんと合計3ステージ。
昼の部の3ステージを合わせると合計6ステージを一人で演じているということだった。
前日寝不足だったこともあり、途中で寝てしまうのではないかと心配していた。
でも本物はやはり違う。
言葉遊びを満載した笑いが随所に用意されており、笑っている間に時間が経ってしまった。
会場の知らない人たちが、狭い空間に集められて落語を聞く。
最初は遠慮がちに笑っている人たちが、次第にリラックスして笑い始める。
小さめの拍手が次第に大きくなり、身体が揺れ始める。
知らない人がすぐ隣に座っているのを忘れて、会場全体がその笑いに支配されていく。
もう70代だという文珍さんは、1日6ステージもこなす体力を持ちながら、自分が終わって行く時のことも考える様だった。
笑わせながら死んでいきたい。
そのためには最後の時まで会場に来てくれる客がいてくれないといけない。
独演会でいつまで客が呼べるのか。
今の大きな会場でいつまで落語ができるのか。
そんなことも考えるのかもしれない。
多くの同級生が現役を去り、悠々自適の生活を始める中で、その年まで世の中に求められ続けることのすごさ。
晩年は、その動きを見る為だけに会場に人が詰めかけたと言われる、落語界の大師匠もあるが、文珍さんは今のところ、その喋りだけで人を集め、人を笑わせている。
人の年の取り方は千差万別だと思う。
60歳くらいから老け込む人もいれば90歳でも、現役でバリバリやる人もいる。
そこまでの生き方の違いと言えばそういうことなのだろう。
笑いもそうだけれど、人生の先輩として、文珍さんの姿には打たれるものがあった。
行くことができてよかった。