カラオケボックスに行ってみた
有楽町でカラオケに行った。
落語のイベントが始まるまでの2時間。
どこで時間を潰すのか相談していた時、息子から提案されたのがカラオケ。
今の若者は、歌を歌う以外の目的でも、カラオケボックスを上手に使っているらしい。
一番いいのは、外部の団体と完全に遮断されることなのだという。
しかも長時間のパックになれば、自然に割安になり、朝まで時間を潰すことも可能らしい。
旅好きの私としては、安くて快適な宿泊方法は、いつも探している。
音楽を流さず、雑魚寝するなら、カラオケボックスを宿泊に使うのもありかもしれない。
数人で遊んでいて、終電を逃したときに、カラオケボックスで朝まで過ごす。
価格的にも、安全性的にもありだろう。
ただ一人で来て泊まるには、あまりに広い。
価格的にも、カプセルホテルの方が安上がりだろうと思った。
次に気になったのが、飲み物の高さ。
アルコール類は一杯800円くらいする。
接客サービスがほとんどなされない店で、こんな値段で販売するのかと思った。
もう一方で、受付近くにはフリードリンクのコーナーが用意されている。
ソフトドリンクについては、そこから運んでくれば無料。
追加のお金を出しても、出さなくても楽しめるようにはなっているのだ。
息子たちは、「カラオケボックスでは、何も飲まないことの方が多い。誰かがドリンクを頼んで飲み始めると、気が付かないうちに高額の請求を受けることが多いからだ」と説明してくれた。
ボックスで飲み物を頼むかどうかは、そこに行っているメンバーの同意形成を待ってから、選択するということのようだ。
数十年もカラオケボックスに行っていない私としては、カラオケボックスは、飲み食いしながら歌うのが当たり前。
違う楽しみ方というか、違う節約法があるというのは新鮮だった。
いよいよカラオケを歌い始めた。
歌には自信があった。
良いところを見せてやろうと思ってマイクを握った。
ところが、カラオケの画面に表示される音程のバーより常に外れている。
音程があっていると黄色。
音程が外れているとオレンジに色がついていく。
私がいい気分で音を伸ばしていると、画面にオレンジのバーが引かれる。
大抵少し高いか、少し低い。
この歳になって、機械によって音痴を突き付けられるとは思わなかった。
「バーがあったほうが、音程が取りやすいかと思ってそういう設定にした」と言っていたが、まあシビアなこと。
しかも歌い終わると、頼んでもいないのに採点まで始まった。
採点するだけでなく、全国平均まで表示される。
どうせなら、平均値だけでなく、中央値も出してほしいと思ったが、私が平均値に、はるかに及ばなかったのは言うまでもない。
救いは、息子たちの歌が上手だったこと。
私がこれからの時間の中で、カラオケボックスに行くことは、おそらくそんなにはない。
音痴でも困らない。
でも息子たちは、頻繁に利用しているようだ。
彼らが音痴だったら気の毒だ。
子供の頃は、音程が外れていると思って彼らの歌を聞いていたが、外れていたのは私の方だったようだ。
思わぬことに気づかされたカラオケ体験だった。