宮本信子が色っぽかった
海に眠るダイヤモンドの9話と10話をまとめてみた。
朝子が、自分の人生を振り返りつつ、約束をしながら来ることの無かった鉄平のことを知っていく物語。
今、軍艦島と言われ、世界遺産になった端島。
その島の歴史と、朝子という一人の女性の人生を重ねながら、描かれたこの物語。
最終回は、秀逸。
神木隆之介、杉咲花、そして宮本信子の一人でも欠けることがあれば、これほどの感情移入はできなかったに違いない。
端島で再び着炭のニュースが流れた。
着炭したら、端島が復活する。
着炭したら結婚しよう。
朝子と鉄平はそういう約束を交わしていた。
その日の昼間。
鉄平は朝子のところまで来て、夜に自分の部屋に来てほしい。
だから君を迎えに行くと声をかけた。
朝子は仕事を終えると、精一杯のおしゃれをして、鉄平を待つ。
でも最後まで鉄平は朝子の所には来なかった。
何故鉄平は来なかったのか。
朝子は、鉄平の母親であるハルの所にもそのことを話しに行く。
約束をしていたのに、鉄平が来ない。
その理由が知りたい。
でもハルもまた、理由を知っていてもそれを話すことができない。
ただ謝るだけだ。
鉄平が失踪した理由。
それは兄の進平が守ろうとしたリナ。
そしてその子供である誠(赤子)を守ることだった。
鉄平が朝子と約束をした日。
家に帰ると、誠が何者かに連れ去られていた。
その理由は、兄がリナを守るために、追ってきた男を殺して、海に捨てたことによる。
進平は、リナが戸籍を隠して、端島に逃げてきたこと。
端島に居れば何とか生きていけるかもしれないが、そのことが外の社会にばれたら、おそらく殺されてしまうこと。
そのことを知った上で、リナと結婚をし、誠をもうけた。
でもある日、リナの存在を見つける男が現れ、進平はリナが隠し持っていたピストルでその男を撃ち殺すと、海に流してしまう。
このことは二人だけの秘密。
でもついに殺された男の兄貴分の男が、リナを見つけ、誠を連れ去る。
鉄平はこの男と、決死の交渉を行うことを決意する。
アイスピックで、一度目の攻撃を男が誠に加えた瞬間に、進平は男たちから誠を奪い、塀の外で待っていたリナとともに、海に逃れる。
そしてその時に、追っ手を自分に引き付けるため、兄の罪を全て、自分の罪として認める。
鉄平はそれ以来、ずっと逃亡生活を続ける。
リナや、母親であるハルの所にも、ほとんど顔を出さない。
ましてや、朝子に危害が及ぶことを恐れて、朝子にも何の連絡も入れない。
朝子はやがて食堂の従業員と結婚して、子供をもうける。
でも鉄平は最後まで、独身で、朝子への思いを持ちながら生活する。
最終話で、鉄平がいつか朝子に渡したいと願って作ったギヤマンのコップを、端島の朝子が働いていた食堂に置きに行っていたこと。
そして、鉄平が人生の最後に生活していた児童福祉施設の庭に、朝子が植えたがっていたコスモスが咲き乱れていたこと。
そのことによって、鉄平の朝子への純愛を見せる。
人に歴史ありという。
でもこんな風に、人のことを深く描くことができるものなのだと、このドラマで教えられた。
来ることの無い、鉄平を待ち続ける朝子。
ドラマの中で何度も挿入されたこの絵が、実際に朝子と鉄平の人生だったのだろうと思わせてくれた。
そして、鉄平を思い出す宮本信子が、まるで少女の様で色っぽい。
いいドラマを見せてもらった。