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深海病棟

女・瑠璃 (るり)   引っ込み思案、照れ屋
女・梨音(りおん)  言葉は強いが優しい
女・未玲(みれい)  恥ずかしがり屋、ヤンデレ
梨音のことを「梨(なし)」と呼ぶ
男・彩斗 (さいと)   素直
男・鏡夜(きょうや)  HPの管理人 瑠璃の彼氏
男・眞珱(まお)    瑠璃の他人格
※瑠璃と眞珱の演者は同一人物でも可

瑠璃    M
小さい頃の私は周りと比べて身体が弱かった
風邪をひいては肺炎になり入退院のくりかえし
だから学校にもあまり行けていなかった
クラスでは浮いた存在で、周りの人が近寄らないように私も努力していた。
理由は言うまでもなく幽霊部員みたいなもので
病弱体質のせいか友達が出来なかったから。
今までと変わらない日常だから私は何も辛くない
自分の距離感は私が1番解っていたから。

1人で居ることには慣れている
独りになる事にも慣れている
私には何も無いから

ひとり遊びにも飽きてきた時、ネットでとあるHPを覗いて見た。
書いてあることは共感できることが多く、私自身、自分のことの様に思えてくる事がある。
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ルームにて

梨音
「今日はまだ誰もいないのか?」

未玲
「どこ見てんだよwROM2になってんだろw」

梨音
「うるせーよwいちいち見ねーからw」
「お前暇で誰か来ないかずっと見てたなw」

未玲
「黙れwいちいち突っ込むな!」
「あっ!」

彩斗
「おつかれー、なんだお前ら仲良いな」

未玲
「仲良いとかじゃねーしw」
「それより彩斗?何かあったのか?」

彩斗
「別に大したことじゃないんだけど、鬱が酷くてやっちゃいそうでさ」
「ここ来れば辛いことも話せるから」

梨音
「いつもの?まぁ俺もやっちゃう時あるし、それで気分が晴れるなら良いんじゃね?」
「って思うの俺だけか?」


「僕もしてるから大丈夫!なうw」

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瑠璃    M
私には新鮮だった。
多分リストカットの話をしているんだろう。
認められている、ここに来れば私のことを認めてくれる人が居るんだ…!
でもそれは違うのかもしれない、悪い癖だな…
したい事ができないし、その1歩が怖くて踏み出せないんだ。
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眞珱   M
~瑠璃、俺と変わるか?
お前のフリして会話してやってもいいぞ?~
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瑠璃   M
私の中にいる人格【眞珱】
いつから居るのか解らない眞珱
親には変わった変な子と育てられた私は、寄り添う人が居なかった。

眞珱  M
ハンドルネームは…  瑠璃にしとくか…

眞珱
「こんばんわ」「はじめまして」

彩斗・梨音・未玲
「こんばんわ」

眞珱
「皆さん、いきなりすみません。
管理人さんと知り合いで、紹介してもらいここにたどり着きました。よろしくお願いします。」

梨音
「そーだよなw  普通に検索してもここには来れないから嘘つかなくて良かったなwバレるし」

未玲
「またそう言う言い方して!はじめましてなんだから、上から目線やめろよな!まったく…」

彩斗
「いま、俺が鬱になってリスカしてしまうかもしれない話してたけど大丈夫?無理なら…って言うかそう言うHPの掲示板みたいなもんだからな。
まぁ、嫌でも我慢してねー」

眞珱
「あ、大丈夫です。お話には聞いていたので」
眞珱    M
やっぱりそうか…ここで少しは瑠璃も変わってくれれば良いのだけど…
俺から言わせれば傷の舐め合いみたいなもんだけどな…

梨音
「って言うか俺、傷見られて気持ち悪い言われたw その後に「っえ?見せてー」て言ってくるんだよwマジでウザイw」

未玲
「はいはい、じゃあ彩斗の話でも聞こうか」
梨音
「流すなよΣ\(゚Д゚ )」

彩斗
「いやぁ別に大したこと無いんだけどさ
暇すぎて腕切りたくなって、止めようと思ったけどその繰り返しの思考でヤバくなってさ!」

未玲
「あーね、何か解るわそれ!
暇つぶしにヤリたくなるやつだよねw」

梨音
「瑠璃は?」

眞珱
「え?」

梨音
「リスカとかODとか」

眞珱
「私は両方かな…切ったあとに飲む」

彩斗
「わかる!何かトランス状態になるんだよねぇそれ、そのキマッてる状態が気持ちいいんだよねぇ」

眞珱     M
不思議だな。世間的にはこの会話は異常だと思われるだろうな
だが、ここの中では日常なんだ。至って普通の会話。
現実逃避しても、ここにいる限り【ここが現実】なんだ。
これから瑠璃も自分で書き込み出来るようにしないとな。

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瑠璃  M
それから色々話した。
私は眞珱に頼んで会話しただけだから、あとから話を聞いただけだけど…
雰囲気は分かった。
何だか不思議な人達だったな…
なんで辛い事あったのに、リスカしたりODしたり楽しそうに話せるんだろ…
共感出来る人が居ると、こうも話せるものなのかな…

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彩斗
「今日は俺の愚痴聞いてもらってありがとな!」

梨音
「いつもの事だろ?聞くだけならできるしな!」

未玲
「でもまさか初見さん来るとは思わなかったね!」

梨音
「そうだな、まさかの管理人と知り合いとは…」

未玲
「梨は突っかかりすぎ!優しくしなよ…もう」

彩斗
「悪いやつじゃなさそうどけど、初見が久しぶり過ぎて何話せば良いのか解らなかったよ…汗」

梨音
「気を使う方が後々面倒だからな、お前らがなんと言おうと態度は変える必要ないと思ってるw」

彩斗
「はぁ、多分あいつ……えっと、瑠璃だっけ?
またここに来るな、多分」

未玲  M
まったく、2人とも何考えてんのかな?
新しい人来たら仲良くしようって言ってたのに…
久しぶりだからだよね?
彩斗も彩斗だよ、何だかんだで優しくしてさ…
私の気持ち知らないはず無いのに、、
でも未だ伝えてないし、言ってもいないけどさ
何となく気がつけよな!バカ彩斗!

梨音   M 
未玲のやつ、一々うるさいんだよなぁ…はぁ
良いとこでもあるけど、悪い所でもあるし。
今日の彩斗にはイラついてんだろうなw
あいつら、俺も含めて会ったこと有るんだから付き合っちゃえばいいのにw

彩斗
今日は初見に優しくしすぎたか?
未玲のやつ、他のやつに優しくしろって言う割には
優しく接すると怒るんだよな…
何がしたくて何考えてんだか…
まぁいい、明日になればまた普通に戻ってるだろう
あっ!そろそろメンテの時間か…

彩斗
「そろそろメンテ入るから落ちるぞー」
未玲  
「またねー」

「おつー」

鏡夜
時刻は   AM   4時58分   
「さてと、メンテでもするかな!
そういえば瑠璃のやつ、アイツらの会話混ざれたのかな…        少し覗いてみるか」

鏡夜    M
へー瑠璃のやつちゃんとコメントしてんだな。
以外とネットだと打ち解けられる場合があるから
HP教えてあげて良かったのかな?
まぁここでの会話は他言無用だから安心は出来るが、人との絡みが苦手な分
打ち解けられれば良いとは思う…
それも本人次第か…
さてと、メンテ終わらしてゲームでもするかな。

瑠璃      M
私はあの場所に馴染めるのかな…
自分自身に不安しかないのに、こんな私でもあの場所にいて良いのかな…

鏡夜
「さてと!もうすぐメンテ終わるし、もう一度今日の会話でも覗いてみるか!

…あれ?瑠璃ってこんな話し方するっけ?
何か雰囲気が違うというか、言い回しが少し違うような…
それに、自分のことあまり離さないよな…
まあ、気にしても仕方がないか…」

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瑠璃
「はぁ、昨日は何だか疲れたな…
今日は学校だし、寝不足のまま来ると目が腫れてるんだよね」

鏡夜
「おーい!はぁ、はぁ、はぁ
やっと追いついた!駅で見かけて追いかけたけど、以外と歩くの早いんだね!」

瑠璃
「どうしたの?」

鏡夜
「いや、昨日のこと聞きたくて!
メンテナンス前に治安維持でコメント見たんだけど
あれって瑠璃が話してた?何か雰囲気違くてさ、
っあ!違うなら良いんだよ?でも解らないけど、どこか雰囲気違うなぁって思ってさ!」

瑠璃
「そんなこと無いよ、文面だけだからそう思われても仕方がないけどね」

鏡夜
「それなら良いんだけど少し気になってさ」

瑠璃    M
やっぱ鏡夜は優しいな…
鏡夜とは今年の春から付き合いだした。
小さい事も感が鋭いのか直ぐに気がついてくれる。
ただ、鏡夜には隠している事がある。
私が【  解離性同一性障害  】だと言うことだ。
理解されない病気のひとつで、簡単に言うと多重人格である。
私には記憶が無いことが多々あって、その時は眞珱に代わってもらう時だ。それにその他何人居るのか自分でも解らないから困っている。

鏡夜
「何か困ったこと有れば言いなよ?何のために僕が居るか分からないだろ?
ちゃんと言えるようにゆっくりでもいい
話せる時に話せば良い、ただ1人で思いつめるな。
いいね?」

瑠璃  M
私は、優しくされればされるほど
鏡夜に伝えることが出来なかった…

その夜…私は自分から話すようにしてみた。

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梨音
「今日はまだ誰もいないのか?(・ω・ = ・ω・)」

瑠璃
「こんばんは」

梨音
(彩斗の言う通りこいつ気やがったw)
「こんばんわ、今日はまだ誰も来てないよー」
「そもそもここに来て楽しいか?」

瑠璃
「はい、こんなこと言うと失礼かもしれませんが
私もリスカしますし、ODをして昏睡状態にもなったこと有るので…まだここの事分からないですが…」

梨音      M
こいつ昨日よりも喋るな、昨日の事で何か変わったのか?共感性何とかってやつか
未玲がうるさいし優しくしてやるか?

梨音
「なぁ、ここはただの傷の舐め合いする場所みたいなもんだぞw   だからある程度自分のこと話せないと信頼関係があるからさ、みんな聞いてくれないから覚えといてねー」

瑠璃      M
そうだよね、自分のこと言わないと信用も何も無いよね。鏡夜も言っていた、ここは信頼関係でならりたっている。他言無用のルールだって。

彩斗
「お疲れー、おぉ!瑠璃も来てるじゃん!
昨日は話聞いててどうだった?」

瑠璃
「あ、彩斗さんこんばんは。はい、自分も我慢できなくてヤってしまうことが有るので共感出来ました。」

彩斗
「また、誰かさんに毒吐かれてなかった?」

梨音
「誰かって俺しかいないだろw 彩斗!遠回しに言うなw わかってんだからw」

彩斗
「わるいわるい、つい、からかいたくなってね!」

未玲
「ゴメーン( ̄▽ ̄;)遅くなった!
ってあれ?瑠璃来てるじゃん!おつおつー」

ログを見る未玲

未玲    M
まーた梨は毒吐いてる…
もう少し柔らかく言えないもんかね…
まぁこれ以上言っても変わらないと思うけど。

彩斗
「じゃあ今日は瑠璃のことでも聞こうか!そっちの方が打ち解けるでしょ!」

瑠璃
「えっ?私の事?」

彩斗
「そう、話さないと何も解らないし
結果話した方が楽になることもあるからね!」

瑠璃
「あの…    皆さんと仲良くしたいです…
私、事情があってあまり話せないんですけど…」

未玲
「みんな事情があるからゆっくりで良いよー」

瑠璃
「躁鬱とだけ言っておきます…すみません」
「それとパーソナリティとかあります…」

梨音
「みんな有るから気にすんなよw
お前さんが気にするほどウチらは気にしてねーぞー!」

彩斗
「梨音、言い方少しは柔らかくしろ!
少しは相手のこと考えてやれ…まったく」

梨音
「俺の話し方は気にすんなよー、もとからだから」

瑠璃     M
ここでの会話は他に漏れることはない、ただ鏡夜の存在が怖かった。
ここの管理人兼、私の恋人。
ここの会話が見られるのが怖かった。
誰にも話したことの無い私の病気、理解されないことの恐怖が心に掛かった鎖を締め付けるんだ。

彩斗   M
瑠璃は何かを隠してるんだろう、ここでは言えない
誰にも言えない秘密。
雰囲気でわかる、時間が解決してくれれば良いのだけど、、
今日は何だかんだ話してくれたから、少しずつ打ち解けていけるかな…!

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鏡夜     M
僕は瑠璃のこと何も分かって無いのだろうか
心苦しいが気になってルームを見てしまう自分が嫌いだ…
この気持ちをどこにブツケたら良い!
っくそ!俺は瑠璃に何も出来ないのか
ROMしても人数に入らない設定をしといてよかった。
最低だ……俺。


瑠璃      M
鏡夜のHPに来てから半年が過ぎた
彩斗、梨音、未玲とも打ち解けてきた頃だった。
周りからすれば、遅いと思われるかもしれない
だけど私からしたら早い方だ。
人のことを誰かと天秤に掛けられるのは慣れている
だけどここに来てからは、【其れ】がとてつもなく嫌になった。
自分の価値を認めてくれる人が居るこの場所で
差別されない此処で私は生きていける!
そう思ってしまったんだ。

眞珱    M
瑠璃、この声が届いているか?
あまり依存するな、いいか?よく聞け。
鏡夜は俺たちの会話を観ている、この半年で何故話に出てきていない事を匂わせている?
気が付かなかったか?かろうじて病気の名前は伏せてはいるが、そろそろ潮時だと思う。
仲良くなれた奴らには悪いがもう離れよう…
これは俺からの忠告だ……依存すればする程辛くなるのは瑠璃、お前なんだ。
わかったな?HPから離れるんだ。お前を守る為、壊れないためなんだ。

瑠璃     M
眞珱からその事を伝えられた私はパニックを起こした。そんな事知っていた、だから辛かった。
その日から
ルームを離れ毎日腕を切った。
何より私自身のことを話せていないのが辛かった。

観られていたのは知っていた、最初から知っていたんだよ、、
私の事、理解しようとしてくれていたんだよね、、
ごめんね…鏡夜
鏡夜、大好きだよ。私の夢叶えてね。

痛みが無くなるまで、自分のことを憎み、隠している罪悪感とその罪を償うために
毎日毎日、自分の心と腕を切り刻んだ。

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ルームにて

彩斗   
「未玲、梨音、今何をしている?」
「瑠璃との連絡が取れないんだ」

梨音
「いま?何もしてないよ!連絡取れないのはいつもの事じゃんか、落ちてリスカでもしてるんだろ!」

未玲
「っあ!今連絡来たよ!」
「ちょっと待って!動画送られてきたんだけど!
やばいよ!首吊ろうとしてる!」

梨音
「っ嘘だろ!?」

彩斗
「おい!それ場所どこか解るか?前に聞いた時、住んでるところ近かったから、わかる範囲でいい
俺に情報をくれ!あと動画も送るんだ!」

未玲
「画像検索するから待って!焦らせないで!」

眞珱      M
今頃ルームでは大騒ぎだな……
悪いな瑠璃……
俺は瑠璃を守らないといけない、例えそれが息絶える事だとしても。
散々切って、泣いて、責めて、、、
自分のした事の罪滅ぼしのつもりだったのかもしれない。だけどもう終わりにしよう、、

彩斗
「おい!まだか!未玲、なにかヒントになるものはわかったか?」

未玲
「ちょっと待ってよ!急いでるんだから!」
「あ!あった!大きい鳥居がある!
川?海かな?近くに沢山明かりが見えるよ!」

梨音
「おいまじかよ、未玲ってやっぱすげーな…
ってかマジで瑠璃は死ぬ気なのか?」

未玲
「こんな時に冗談なんか言わないでしょ!」

その時1本の電話
SE   電話の音

未玲
「ビデオ通話が来た!ちょっと待って2人に共有させるから!繋がっても黙ってて!」

「もしもし?瑠璃?大丈夫?」

瑠璃
「ねぇ、私どうしていいか分からないよ」
「誰にも話せない、理解もして貰えない、胸が苦しくて、話せなくて、抱え込んでいたら
「私、壊れちゃった」
あははは、あはははは、壊れちゃったよ…
ぐちゃぐちゃして、頭の中で死ねって言葉がループして、腕もボロボロ、お腹も切っちゃった」

未玲
「大丈夫!大丈夫だから!
お願いだから死なないで!」

彩斗
「おい!瑠璃!聞こえるか?今そっちに向かう!
だから何処にいるか教えてくれ!
俺が聞けることなら聞くから!
せっかく仲良くなったのに、死ぬんじゃねーよ!」

梨音
「瑠璃……」

瑠璃
「私さ、夢があるの。人に愛されたまま死にたいって」
「今私さ、愛されてるんだと思う。それに……」

鏡夜
「瑠璃!瑠璃!居るんだろ!どこだ、何処にいるんだ!なぁ返事してくれ!」
「悪かった!僕が悪かったから!謝るから!
なんで、なんでなんだ…
僕が瑠璃の事を知ろうとしたからか!?
それとも解ったつもりでいたからか?
それなら謝る!だから行かないでくれ!」

瑠璃
「ごめんなさい、これでみんなともお別れだね…」

SE   電話が切れる音

瑠璃     M
鏡夜の声が聞こえる……
探しに来てくれたんだ……ありがとう
でももう遅いんだ…もうすぐお別れだね
この脚を浮かせたら終わり…
もう、貴方に辛い思いをさせないで済むんだ
これで最後、本当に最後なんだ。

【    さようなら   】

鏡夜
「     瑠璃!!    」

鏡夜     M
間一髪、僕は瑠璃の身体を抱えた
瑠璃は咳き込み地面に下ろし涙が溢れそうになった。僕は瑠璃を強く抱き締めた。
瑠璃のやせ細った身体に刻まれた傷と、腹部から流れる血を見て背筋が凍った。

鏡夜
「何でこんなことするんだ!バカヤロー!」

瑠璃
「貴方に隠し事をした罪を償いたかったの」

鏡夜
「そんな事で自分を傷つけるなよ!」

瑠璃
「私の病気の事、まだ教えてなかったよね?」

鏡夜
「そんな事どうでもいい!どんな病気だろうと僕は瑠璃が好きなんだ!なんで死のうとするんだ!
ずっと一緒にいようって言ったじゃないか!」

瑠璃
「ごめんね、本当にごめんね。
私はこの身体の持ち主の所詮人格なの
だから、どうやってもいつかは消えて居なくなるの…隠していてごめんなさい。」

鏡夜
「何が何だか分からないよ!何だよ人格とか持ち主とか、瑠璃は瑠璃だろ!」

瑠璃
「解離性同一性障害」「多重人格」って事だよ…
その中の1人なだけなんだよ…
理解して貰えないのは分かってる、混乱するのもわかってた。でも言えなかった、私が消えてしまいそうで怖かった……

鏡夜
「瑠璃…今まで一緒に笑ったり泣いたりしたじゃないか、それも嘘だって言うのか?違うだろ?
瑠璃はちゃんと生きてるじゃないか…
そんな悲しいこと言うなよ、、、」

瑠璃
「ごめんなさい…でも愛されているうちに私は死にたかった。消えてしまう私は、鏡夜との思い出の中で生きたかった。
鏡夜に愛されたままで居なくなりたかったの
ごめんなさい…         大好きです。」

鏡夜    M
その後、救急車を呼び集中治療室で瑠璃の回復をまった。瑠璃は首の骨が折れ重症を負っていた。
 幸い、腹部の傷は浅く一命を取り留めていたが
腕の傷と併(あわ)せると出血量が多く輸血を余儀なくされた。
深海のように深く暗い中できっと生きてきたんだと思い知らされた。
僕は何も解ってなかった、解ったつもりでいたんだ。
寄り添うことの難しさ、理解する覚悟が僕には足りなかった。
一緒に生きるという事は思った以上に残酷で、お互いを知るという事は
深い海の様に深淵を覗かなければ、寄り添えないことを身をもって分からされた。

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