【エスキス2】条件整理編
令和4年から令和6年にかけて3年間
Nに2回とSに1回通いました。
令和6年にはUの本も購入し手法を取り入れた筆者なりの完成形です。
3年掛かりで習得し洗練して来たエスキス手法を
令和6年本試験課題を使って紹介します。
今回は条件整理編です。
エスキス各記事まとめ の記事
読取り編 の記事
チビコマ編 の記事
1/400編 の記事
中間チェック編 の記事
全体配置
人それぞれですがおおよそ決めておくと途中で探す手間がなくなります。
条件整理~チビコマはA2サイズの半分(A3縦向き)を使用します。
この番号の順番で作業をしていきます。
①1/1000敷地図、アプローチ整理
①5㎜方眼の1マスを5メートルとして敷地図を課題文のまま書き写します。
この時に隣地や道路の情報も書いておきます。
②各境界線から1マス控えた位置に建物を仮置きします。
③周辺環境をヒントに利用者のメインアプローチを設定します。
今回は西側の駅前広場からとしました。
駅からの動線、バス乗り場からの利用者、南側16m道路からの利用を考慮するとこの課題に限っては西側の他に選択肢はありませんでした。
課題によっては歩道付きの前面道路や商店街ということもあります。
④車椅子使用者用駐車場、利用者用駐車場を設定します。
メインアプローチと並ぶ練習課題も多いと思いますが
今回のように駅前広場が明らかな歩道であり切り開き不可の要求など
様々な要因により異なります。
近年はメインアプローチと駐車場が並ばなかったり
利用者が異なり別方向から設定すべきという傾向にあります。
メインアプローチと駐車場が別方向からとなったため
駐車場利用者用のサブアプローチを設定しました。
⑤サービス(搬入業者、修繕工事業者、施設管理者、ゴミ引き取り業者 等)の動線を設定します。
基本的にはメインアプローチとは切り離した狭い方の道路とします。
1面接道であっても離れた位置に設定します。
サービス用駐車場がある場合はサービスアプローチと兼用します。
⑥上記を踏まえてメイン、サブエントランスホールの位置、管理部門の位置を想定します。
今回はメインアプローチとした西側中央にメインエントランス
車椅子使用者用駐車場に近接してサブエントランス
管理部門はサブエントランスの南側(サブエントランスの北側は駅ビル、自由通路や植栽帯がある肯定的な条件の為利用者ゾーンとしたい。南側は開放性の無い否定的なエリアの為。商業施設があるといっても表は駅前広場に向いていて東側は裏方と思われる。)
あくまで想定なので縛られる必要はありませんが簡単には替えないようにしましょう。
決められない、判断が付かない場合はもう1案出しておくか保留とすると良いです。
②機能図の作成
読取りの最後(青ペンチェック)時に
という作業をしました。
これをほぼそのまま書き出していく作業です。
動線指定や屋外施設とのつながりは赤で書いておくと見やすいと思います。
今回は基準階の指定はありましたが
1、2階の階振りを確定する要素がありませんでしたので
基準階以外の利用者諸室は
「1、2F」とし階振りを保留しています。
読取り時も簡単に決めつけずに「保留」をすると融通が利きやすく柔軟なエスキスができます。
非常に危険な思考です。
課題文にはそんなこと一切書いてありません。
凝り固まった考え方を脱するために一旦「保留」とし後で総合的に判断します。
事務所に受付が求められているので自動的にエントランスホールとの隣接指定が発生します。
読取り時に課題文へ書き込んでおくことで漏れの無い機能図を作成できます。
書き出す作業をしているだけなのでここでは何も検討しません。
決めつけを防ぐために
「図書室と教室は同じ階の方が良いかも」
と思っても書かないようにしましょう。
③階振り(仮)、立体構成
ようやく階振り(仮)を行います。
あくまでも(仮)なのであとで縛られないようにします。
NやSでは読み取り時に階振りをおおよそしていました。
根拠がない状態で階振りをしてそれに縛られるということが多々あり、苦しかったのを覚えています。
なので自分はこのタイミングでようやく(仮)を行います。
Nではエスキスの際にこの図を描くような指導は無くSではボリューム検討用として描くよう指導がありました。
今回は階数指定が無かったので
「研究室を基準階に18室以上」をヒントに
18室÷3層=各階6室=基準階3層パターンを軸とし
入りきらないことも考え4層パターンも検討しました。
基準階に属する諸室は「基」とまとめました。
3階にのみ屋上庭園があるため「にわ」と表現し床面積算入が無い意味の×を書きました。
これを仮想床と呼びます(S流)
屋上庭園の直上も床が無いので×を書いています。
1階はENT(エントランスホール)、S(管理部門)
その他の不確定な室は「強いて言うならココかな?」
くらいの感覚で仮置きします。
(仮)なのでこんな感じで良いと思います。
あまりにも粗雑に置くと後で大変ですが自分なりの考え方(設計者のカラー)が出るところだと思います。
通学する人は同じ教室の人に階振りをどう考えたか聞いてみると自分とは違う考え方を知れて面白いと思います。
次に階高を考えます。
講堂のある階は階高を6m程度にする必要があることが読取時に分かっています。
製図室は天井高さ指定があるので階高を少し高くします。
2階は教室天井高さ2.7mとしてPC梁H=1.0mとすると0.3mの梁下から天井までの配管スペースを確保し階高4.0mとなりました。
パラペット天端の高さと塔屋を含めた高さを書き出します。
それぞれ下記のようになりました。
基準階3層
パラ天 24.1m
塔屋込 26.5m
基準階4層
パラ天 28.6m
塔屋込 31.0m
これに道路高さ制限の検討式を当てはめて必要なヘリアキ寸法を割り出します。
※今回は近隣商業地域で高さMAX31.0mなので北側斜線制限と隣地斜線制限は検討不要。
これで各パターンの高さ制限をクリアするためのヘリアキ(道路境界線から柱芯)が分かりました。
また、基礎免震の指定がありましたのでヘリアキは最低3.0m必要です。
これに車椅子使用者用駐車場のスペース(3.5m)や免震層への点検口スペースを考慮すると東側は7.0mヘリアキが欲しいです。
駐車場をピロティとすれば3.0mでもいいと思いますが高さ制限を回避するためには最低6.0m必要なので
「基礎免震の変位、車椅子使用者用駐車場、免震層への点検口を考慮しつつ東側道路高さ制限を満足した。」というように記述で問われていないことも考慮して想定をしていきます。
①の敷地図にヘリアキを記入します。
東側は7mとしてそのほかは3mとします。
この時に最小の数字とすることで建物の建築可能範囲を可能な限り広く取ります。
④ボリュームの検討
①建築可能範囲の面積と建築面積の最大値を比較します。
建築可能範囲38m×29=1102㎡
敷地面積1680㎡×建蔽率の限度80%=1334㎡
小さい方の数字を採用します。
今回は1102㎡となります。
②要求室や任意室の床面積の合計に
③階振り(仮)、立体構成 で想定した仮想床を足します。
今回は基準階が3層か4層か判断がついていないので
②を3層、②'を4層とします。
+50×3や4は屋上庭園及びその上部の仮想床の面積です。
この計算で出た数字を階数で割ると1フロアあたりの床面積(仮想床込み)が算出できます。
この数字を①の最終数字と比較して小さい方を採用します。
②、②’共に1102㎡より大きいので
1102㎡が採用されました。
③、③' 階振り想定した室が計画可能かを検討します。
仮想床や各階ホールも合計し階数で割り、廊下係数と呼ばれる1.4をかけてみる。
1フロアあたりの仮想床、各階ホール等諸々合計した総合計の平均が出ました。
この数字が1102㎡より小さければ計画可能ということになります。
1、2階に関してはかなり近い数字になりました。
廊下を最小で納め、コンパクトにまとめる必要がありそうです。
⑤スパン割の想定
考えられるスパン割を総当たりすることで客観的に想定します。
大空間→大
吹抜け→吹
諸室 →諸
外 →屋外施設
56(7m×8m)が最も効率が良さそうです。
42(6m×7m)も悪くなさそうです。
まとめ(エスキス条件整理全体)
長くなりましたが自分流や資格学校流で理解できないところや苦手な手順があれば参考にしてみてください。
チビコマは次回解説します。
自分はスパン割が苦手で⑤の総当たりに出会いました。
階振りも苦手でしたが保留してみると後で総合的に判断できることに気付きました。
条件を整理するだけなので悩むことなく手早く進めたほうがいいと思います。
情報を可視化する作業に慣れるとここまで手を止めずに進めるようになります。
前の記事
次の記事
各記事まとめ