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【エスキス3】チビコマ編

令和4年から令和6年にかけて3年間
Nに2回とSに1回通いました。

令和6年にはUの本も購入し手法を取り入れた筆者なりの完成形です。

3年掛かりで習得し洗練して来たエスキス手法
令和6年本試験課題を使って紹介します。

今回はチビコマ編です。


エスキス各記事まとめ の記事

読取り編 の記事

条件整理 の記事


1/400編 の記事

中間チェック編 の記事



簡単なプロフィール

アラサー高卒 独身男
現場監督
地方中小企業の建築施工管理の会社員
1級建築施工管理技士
R6年一級建築士試験合格
※Amazonのアソシエイトとして、当メディアは適格販売により収入を得ています。



コマ数

条件整理の時に建築可能範囲が分かっています。


この範囲に要求を満足できるスパン割を想定します。
あくまで想定なのでまだ決めることはできません。
コマ数を算出するための材料です。


この試験のセオリーとして6コマ×4コマを基準に考え、
これに近い形で要求を満たすことができるようにします。

B案が28m余り1mになっているのは
柱の負担が大きくなりすぎないようにするためです。
この試験におけるセオリースパン割は下記の通りです。


◎を基本に考えて、どうしてもやむ負えない場合は◯も部分的に採用しますが他の受験生より構造上不利になると覚悟してください。

Aの方がコマ数が多いので一見部屋を多く入れることができそうです。
Bは4コマも少ないので不利に見えます。

条件整理編 ⑤スパン割の想定 より

1コマあたり56㎡が最も理想的で42㎡も悪くないという感じでした。

よって7m×8mが要求を満足しやすいということになります。

第一候補として5スパン×4スパンが要求を満足しやすいということになりました。



管理部門のボリューム

読み取り時に管理部門の諸室面積合計は230㎡程度でした。
廊下係数と呼ばれる1.4を掛けると322㎡です。

これは50㎡程度(42〜56)のコマを使用した場合
6.5コマということになります。

よって廊下を含めた管理部門の範囲は6.5コマとなります。


アプローチ・ゾーニング

条件整理編で想定したアプローチ・ゾーニングを基準に
考えます。
まとめやすくするために都合のいいように変えることは避けるべきです。
何かしらの根拠があって変えるのはいいと思います。

Sは管理を示します。(サービスのS)
大体6.5コマをイメージして配置します。

メインとサブの関係は条件整理編より。


大空間・コア配置・吹抜け・屋上庭園

いよいよ最難関
今までの手順はこの最難関に対する準備でした。

ここまでの検討が的外れだと合格ラインからかなり遠ざかり、ここから巻き返すことは不可能に近いです。

ここで条件整理編 ③階振り(仮)、立体構成 から

講堂は利用者が多いし1階(?)
カフェは交流に使えそうだし1階(?)
図書室は気軽に勉強するスペースとして使うために1階(?)
2階がスッカラカンだから教室は2階(?)

この考え方と

この図を参考に大きいところから計画します。

今回の課題において最大ボリュームは圧倒的に「講堂」です。
読み取り時点で450㎡近く実に9コマの特大空間です。

1階に置いてみました。
サブアプローチが潰れてしまいました。
更にカフェやトイレ、階段も入れたいので後で調整します。

利用者用コアはメインエントランス付近がセオリーです。
通常利用の利便性だけでなく避難のことも考慮するからです。

管理はもちろん管理部門の中です。

仮に置いてみました。
極力離れた位置に置くと上階の避難動線が短くなります。

この時に廊下も意識します。

今回吹抜けの要求はありませんがスペースが余れば記述のネタとして設けてもいいと思います。

屋上庭園は3階ラウンジとのつながり、
そのラウンジが特記によると交流空間であること。
屋上庭園は周辺環境に配慮と要求されていることから
西側の駅前広場側が合格しやすい考え方です。

東側に配置する場合は集合住宅へのプライバシーに欠け、開放性もさほどない微妙な空間となります。
その代わり道路高さ制限を回避しやすいと考えると東側に置きたくなりますが
課題文の要求に反応して楽な道に進むわけなので他が圧倒的に優れていないと難しいと思います。

A案

このようにすると要求を満たし、条件整理時のボリューム感から逸脱していないので5階建で計画できそうです。

しかし基準階の形が歪になり構造上は不利と言えます。

A案立体

角がえぐられてバランスの悪い形状と言えます。

B案

こうすると基準階の平面形状は正方形に近くなり、構造上かなり有利です。
しかし、2階で屋上緑化などで床面積を小さくし、更に屋上庭園を大きくしているので要求室が入りきらず6階建にならざる終えません。

B案立体

A案

メリット
5階建で計画できるため経済的に有利
デメリット
基準階が不整形なので構造上不利

B案

メリット
基準階が整形なので構造上有利
デメリット
階数が増えるので経済的に不利

どちらを取るか本試験中に10分ほど考えました。

その結果、どちらでも合格になる
という考えに至りました。
簡単にはどちらがいいかと決めつけられず、受験生たちも迷うところだと思ったからです。

これを両案の悪いところ取りでは話になりませんが
どちらも一長一短あればどちらをとっても減点覚悟です。
両方のデメリットを回避する案はないと思いました。

私はB案を採用しました。
基準階の避難動線も結果的には短くなり、
建築学科の教材としてふさわしい整形でシンプルな形状としました。(記述と連動して決めると採点官も減点しずらいと思います。)

屋上庭園に押し出されて各階のコア位置が移動しました。


中規模諸室

中規模とは100㎡以上大空間未満というイメージです。
この場合も階振り(仮)を参考にしていきます。

6階建になったのでこっちですね。
大きい順に室を配置します。

今回は製図室→教室AB→図書室
の順番になります。

だいぶ納まってきました。


廊下修正

内部動線の整理を行います。

2、3階については廊下は大きい部屋に寄ります
大きい部屋には多くの人が行き来するためメイン廊下が遠くにあると大混雑でしょう。
小さい部屋には枝分かれのような廊下でも妥協できます。

1階サブエントランス講堂S(管理部門)が干渉していたので修正します。
講堂はPC梁で計画するため短編方向2スパンとします。
サブは3、4m幅として残りをS(管理部門)としました。


スパン寸法確定

3階を見ると屋上庭園に2コマ使えるのでここは42㎡でいいということになります。
2階も1階もこの考え方で問題なさそうです。
よって一番西側は6 m×7 とします。

その他を8 mスパンとすれば講堂面積、S面積、上階の50㎡以上の室にも対応しやすくなります。


残りボリューム確認・小諸室配置

空いているところを仮に確認してみます。
ここに小要求室やトイレなどが入ることになります。

1階はカフェ、トイレ
S内はボリューム検討済みなので入る前提

2階は教室CD、トイレくらい

3階には研究室×5、トイレ、会議室、ゴミ保管庫、ラウンジ

上記を含めてS以外の小要求室を当てはめていきます
これは1/400で行ってもいいのですがチビコマ段階で検討をしておくと修正も楽で時短になります。

エスキスは検討を進めていくと大きな誤りに気づき最初からやり直しみたいなことも少なくありません。

チビコマならもう1案作ればいいだけなのでダメージが少ないです。

3階のラウンジは屋上庭園と隣接が必要でした。
基準階4層としたので研究室は5室必要です。

Sの階段位置を変えるとどうにか入りそうです。

1、2階はカフェ、教室CDくらいです。
カフェを開放的な駅前広場側に配置し、面積を考慮すると北西になりました。

小諸室の配置様々な要求廊下のやり取りに関わるのでかなり難易度が高いと思います。

学校の課題の模範解答をチビコマに戻し、小諸室や廊下を消して配置検討をしてみて、模範解答とどのくらい乖離したか。なぜ乖離が生まれたのか。
エスキスが苦手な人は自問自答しながら訓練してみてください。


チビコマ後チェック

1/400に進む前に最低限のチェックをします。

読み取り編でも少し触れましたが

オレンジマーカー
法規、ゾーニング動線、吹き抜け、大空間、
設置階指定、以上要求、屋外施設 などのランクⅣ項目

これに加えて建築面積、容積率、高さ制限は最低限チェック項目です。


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