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M兄弟しか見えない

簡単に恋に落ちやすいのは、
男性慣れしていないせいなのか
真剣に悩んだ時期があった。

実際、父が出て行ってからは、
同じ家の中に女性しかいない環境になったわけで、
異性に接する機会は、学校くらいだったのかもしれない。

エホバの証人は、親切で穏やかで、
気さくに話しかけてくる人が多いと思う。
集会が終わった後、掲示板をボーッと眺めていたりすると誰かが話しかけてくれる。
だんだんと色々な人と知り合いになって
結構カッコイイじゃん♪って思う人も見つけた。

あの頃の自分に助言できるのであれば
「そんな単純な動機でエホバの証人になるな。一生後悔するぞ。」
と言ってやりたい。

エホバの証人は、結婚を前提とした男女交際しか認められていないので
好きな人がいても、自由に告白したり、付き合ったりできない。
だから、自分も熱心なエホバの証人を演じることにより、
M兄弟の気を引くことしか頭になかった。
※エホバの証人は、男性信者を「兄弟」女性信者を「姉妹」と呼び合う

野外の伝道活動に参加すると、件のM兄弟が場を取り仕切っていたものだから、
「ここの角のお宅から右右にまわってください」などと指示を受けると、一気に頭の中はお花畑になり、動転して左に行こうとしたりするアホっぷりである。

聖書研究もマジメに行うようになり、
集会でも手を挙げて発言したりするようになった。
集会後にM兄弟から「いつも注解ありがとうございます」と言われたくて、がむしゃらに頑張っていた。

こうして私はめでたく高校生で浸礼を受け、
大学進学をすることもなく、全時間の開拓奉仕者になるのであった。

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