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もうひとつの夢

エホバの証人として生きていくなら、M兄弟と結婚する。
それが夢であり、目標だった。
でも、そればかりは自分の意思だけではどうにもならない。

そして同時にもうひとつの夢を抱いていた。
医学部に進学して、医師になることである。

私が高校生のときに、「驚異の小宇宙 人体」という番組がテレビで放映されていた。
確かタモリが司会だったと思う。
それを観て、人間の身体の神秘に魅了された。
臨床医というより、研究医になって、人が病気になるメカニズムを徹底的に解明してみたかった。

実は20代の頃、医学部受験しようと思って、勉強していた時期がある。
書店で参考書を買って独学し、たまにZ会や河合塾の模試を受けていたが、
まともに高校で勉強をしていなかった私の実力は知れている。
毎回E判定だった。

買物依存症でもあったので、返済のためにバイトは掛け持ちしており、
毎回集会では居眠りをしていた。
その姿は演題からは丸見えで、よく話し手の兄弟から注意されていた。

そして、どんどん自分がダメな人間に思えてきた。
まるで真っ暗闇の中で、かろうじて息をしている生き物のようだった。

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