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教頭選考対策 核心部②〜学校管理職と教諭に求められる能力の違い

~現場をリードするための本質的スキルとマインドセット~

学校現場では、教諭(教務主任、研究主任、生徒指導、学年主任、学級担任など担当分掌は多岐にわたる)と管理職(教頭・校長)はともに重要な役割を担っています。しかし、両者に求められる能力やマインドセットは大きく異なります。単に授業や個別指導を行うだけではなく、学校全体の運営や組織調整を担う管理職は、より広い視野と統合的なリーダーシップが求められます。以下、現場の具体例や実績、キャリア・経済面のメリットなどを交えながら、両者の違いを徹底解説します。

① 役割の違い:個別担当 vs. 組織全体の運営

⚪ 教諭の役割

• 多様な分掌に対応
教務主任、研究主任、生徒指導、学年主任、学級担任など、担当分掌により業務内容は異なります。各教諭は、自分の担当領域で授業運営、教材作成、生徒指導、保護者との連携を行い、現場に密着した教育活動を展開します。
• 個別の指導と信頼構築
日々の授業計画や個々の生徒へのフォローアップを通じて、信頼関係を築き、生徒の学習意欲や生活面のサポートに努めます。

⚪ 学校管理職(教頭・校長)の役割

• 学校全体の戦略的運営
文部科学省や各教育委員会の方針に基づいて、学校経営を実践します。校内の各分掌の業務を統括し、予算管理、業務改善、教職員のマネジメントなど、学校全体の調和と効率性を追求します。
• 対外交渉と組織改革
PTA、地域コミュニティ、行政、福祉、警察など、外部との交渉役として学校の窓口を担います。また、学校内部の改善策を講じ、全体の質向上に貢献する役割も果たします。

② 必要なスキルの違い:専門性 vs. 統合的リーダーシップ

⚪ 教諭に必要なスキル

• 授業運営・指導技術
分掌に応じた授業計画の立案、教材作成、学習支援など、現場での指導力が重要です。
• クラスルームマネジメントと現場対応力
生徒同士のトラブル対応、保護者との信頼構築、個々の生徒に合わせた柔軟な対応が求められます。
• 担当分掌に応じた専門知識
たとえば、研究主任は最新の教育理論と実践事例を、教務主任は授業運営や校務分掌の管理技術を磨く必要があります。

⚪ 管理職に必要なスキル

• 戦略的思考と判断力
学校全体の現状を分析し、各分掌の強みと課題を把握したうえで、組織全体の最適な運営を実現するための判断力が求められます。
• リーダーシップと組織調整能力
校長や上位組織の方針に沿いつつ、教職員の意見を統合し、全体をまとめる調整力が不可欠です。
• 対外的コミュニケーションと交渉力
PTA担当や地域連携、行政、警察、福祉関係機関との折衝力を持ち、学校の窓口として必要な情報や支援を獲得する能力。
• 法令遵守と上司の指示への対応
地方公務員法第32条に基づき、上司(校長・教頭)の指示を正確に理解し実行する姿勢が求められ、これが日常の勤務態度や評価に関ります。

③ マインドセットの違い:担当領域の広さの違いとバランス感覚

⚪ 教諭としてのマインドセット

• 担当分掌に対する情熱と責任感
自分の分掌業務において、授業指導や生徒指導に全力を尽くし、個々の生徒の成長に貢献する。
• 柔軟かつ温かい対応
生徒や保護者、同僚との信頼関係を築くため、共感と柔軟な対応を重視する。

⚪ 管理職としてのマインドセット

• 全体最適の視点
自身の担当分野だけでなく、学校全体の調和と効率性を考え、狭い実績に固執せず、広い視野で全体を見渡す。
• 対外連携への積極的な姿勢
PTAや地域、行政と連携し、学校の改善や資源の確保に努める。
• 謙虚さと反省
組織の強みと弱みを客観的に評価し、常に改善を目指す。
• 上司の指示への適切な対応
校長や教頭など、上司からの職務上の命令を厳守し、組織のルールに従った行動を心がける。

④ 経済的・キャリア的メリット

⚪ 管理職になることのメリット

• キャリアの多様化
管理職経験は、退職後も教育委員会、大学、民間教育企業、さらには**行政施設(社会教育施設、生涯学習センター等)**への赴任など、多彩なキャリアパスを得るケースもある。
• 給与の向上
管理職手当やボーナス、退職金へ反映
• 社会的信用の向上
管理職としての実績は、内部だけでなく、教育界全体や民間でも評価されるケースが多い。

⚪ 教諭として働くメリット

• 専門的な現場経験
各分掌での実績を通じ、専門知識と対人スキルが磨かれる。
• 直接的な教育効果の実感
生徒の成長や成果を目の当たりにすることで、教育者としての充実感を得られる。
• 柔軟な働き方
自分の担当分掌に集中できるため、比較的自律した働き方が可能。

⑤ まとめ:未来のリーダーへの道

• 学校管理職は、教諭の専門的な指導力を超え、学校全体の戦略的運営や対外交渉、組織調整力を求められる。
• 教諭は、担当分掌ごとの専門性と現場実践を通じた成長を重ねる。
• 管理職としての成功は、広い視野、バランス感覚、対外交渉力、柔軟な判断力、そして上司の指示に忠実な勤務態度にかかっている。
• さらに、管理職経験は退職後のキャリア選択肢を大幅に広げ、経済的・社会的メリットをもたらす。
• 現場の実績に固執するだけではなく、上位組織の方針に基づく全体最適の視点を持つことが、未来のリーダーとしての成長と安定に直結する。

教諭としてどの分野でどのスキルを磨くのか、人によって異なります。未来のリーダーを目指すなら、広い視野とバランス感覚を備えた管理職としてのスキルを着実に磨くことが鍵となります。

ただし教諭のうちから管理選考ばかりを意識しすぎると本来の仕事のクオリティや評判が落ちますし、何よりも自分が管理職になった時、職員の人望がすでに欠けている可能性もあります。怖いものです。

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