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サードプレイス通信 #7郡山医療生協一支部ミニデイサービス

一人暮らしの人を一人にしないつながりを


介護を受けなくてもいい身体づくりを目指して

 郡山市の桑野協立病院の一画にある郡山医療生協の多目的ホール。ここで月1回「ミニデイサービス」が行われています。このミニデイサービスは外出機会の少ない一人暮らしの高齢者に、健康で楽しく過ごせる機会を提供したいと郡山医療生協の活動の一つとして始められました。郡山医療生協組合員のボランティアの方々が運営し、体操や、お話し、ゲーム、食事を通して「介護を受けなくてもよい身体づくり」を目的にしています。
 このミニデイサービスは、同じ敷地内には病院や、介護施設などのサポート体制が整っているため、参加者の状態に変化が見られた場合には、専門家につなぎやすいという安心感があるといいます。ミニデイの参加者が、ご近所のひとり暮らしの方を誘い、新たなメンバーとして加わっていくことも多いのだそうです。

朝の体操。体操の指導もボランティアスタッフが行う

得意なことを活かして運営する工夫

 朝10時に始まる活動は検温や血圧を測ることからはじまります。そのあとお茶を飲みながら、ボランティアスタッフの話を聞きます。支部の学習会で学んだことを伝えるのもこのミニデイサービスで大切にされていることで、この日は、10月から後期高齢者の医療負担が上がったことなどが伝えられていました。
 その後の体操、発声練習や文部省唱歌で声を出したあとは、歌いながら指を動かす脳トレも行います。

歌を歌いながら指を一緒に動かす。やってみると結構難しい。

そのあとに、この日は、抹茶がふるまわれました。
「いつもなら秋のバス旅行を企画しているのですが、今年もコロナ禍で出かけられないので、季節感を味わってもらえるよう、お茶と芋煮を楽しんでもらいます」と、このミニデイサービスの企画運営を行っている増子清子副理事。活動内容は役員会で意見を出し合って決めているそうです。会議で抹茶を出すことが決まると、茶わんや道具を持ち寄りました。この日は、お茶を習っていた参加者さんが中心となり、ボランティアスタッフと一緒に準備します。

自主的に抹茶茶碗や茶道具を持ち寄って、お茶を習っていたスタッフが中心になってお茶をたてる
お茶に添える甘味は、理事の増子さんがいちじくを煮詰めて持ってきてくれたもの
やわらく美味しいいちじくに参加者は「何を入れて煮たの?」と興味津々。話が弾むひととき

 活動は、ボランティアスタッフの得意なことや経験が活かされています。レクリエーションは、音楽を学んでいたボランティアスタッフが担当。昼食づくりでは、下ごしらえ、味付け、片付けなどそれぞれ得意なことを担当することで、うまく続けられているのだといいます。
 活動内容は長年ミニデイサービスを続けたなかでスタッフと話し合いながら工夫しています。一つのことを長い時間やると苦手な参加者は苦痛に感じることもあるため、何種類ものレクリエーションを準備。参加者が飽きないように次々にゲームや脳トレで皆さんが楽しんでいました。

昼食の準備をするボランティアスタッフ
味付けは、元小料理店を営んでいた方が担当されている
具だくさんの山形風芋煮が出来上がった
昼食もミニデイサービスの楽しみ。一人だと食事を省きがちになるため、何種類ものおかずを用意。目にも楽しいように盛り付けを工夫する。残す人がほとんどいないのだとか

コロナ禍でも感染対策しながら再開へ

 レクリエーションで皆さんの歓声が上がります。声を出す機会が少なく朝は声が出ていなかった方も、徐々に声が出てくるようです。「いつもは昼寝ばかりしているけど、ここに来ると昼寝ないから、今日は夜ぐっすり眠れそうです」と参加者のお一人が話していました。
 コロナウィルス感染拡大したころは休止していた期間もあったそうですが、ミニデイがないことで家にいる時間が長くなりフレイル(虚弱)になりかねないと再開を決めました。それまで夕方までだった活動時間を午前中とし、昼食をお弁当で提供した時期もありましたが、現在は、衝立を使うなど、コロナウィルス感染対策を行いながら継続しています。参加は自身で来場することが基本でしたが、長年の活動で送迎が必要になってきた方には、ボランティアスタッフが送迎をしているのだそうです。

間違い探しの時間。二人一組で取り組むと難問でも見つけやすい
コミュニケーションをとりやすいように工夫している
昼食まで楽しみながら身体を動かす。毎回楽しんでもらえるよう、
ボランティアスタッフは常に情報を集めている

一人暮らしを支えたい

 このミニデイサービスが始まったのは26年前。「26年前、この地域に孤独死があったんです。そのことをきっかけに一人ぼっちの高齢者をなくそうという思いで始めました。はじめは2,3人しか来なくてボランティアの人のほうが多いくらいだったけどね」と責任者の宇賀神昭江さん。宇賀神さんは現在95歳。理事の増子さんや組合員ボランティアスタッフと共に、一人暮らしの方がつながる場をつくり、地域のひとりひとりの健康と暮らしを見守っています。

責任者の 宇賀神昭江(てるえ)さんと副理事長の増子清子さん

団体情報

郡山医療生協一支部 ミニデイサービス
郡山市島2-9-18
開催は毎月1回 10:00~12:30
参加費:ボランティア200円、利用者500円(昼食、レクリエーション材料費含む)参加は基本的に組合員
郡山医療生協HP 


サードプレイスとは、自宅や職場・学校とも違う第三のコミュニティの意味。日常的に担っている義務や役割を離れ、居心地の良い場所で、人と会い、話し、目的を見つけて活動したり、楽しいことを一緒に行ったりします。何かをしなくたって、誰かに会うだけでもいいし、その場所に来るだけでもいいのです。
サードプレイスの条件は、心地よい場所であること。そして、かかわる人達の平等性が保たれていること。
サードプレイス的な場所を持つかどうかは、幸福度にも影響します。「ハーベストカフェ」もまた、シニア世代が幸福であるための交流の場、サードプレイスを目指して、活動しています。
「サードプレイス通信」では、福島県郡山市や近隣の市町村でサードプレイス的な活動をしているグループを紹介していきます。


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