奇跡の話
ある日のこと。
群馬県の温泉街でお湯を楽しんだ後、飲み屋の一席に腰を下ろした時の話。
『お疲れ様』と見ず知らずの方に声をかけられビールを注がれた。日本ではなかなか遭遇しない出来事。彼とは完全に初めまして。あやしい。実にあやしい。
しかし彼が明らかにポルトガル語を話すブラジリアンだった事、そしてお互いにサッカーが好きそうな、温泉街の景観を明らかに損なう格好をしているという共通項に親近感を覚え、物は試しにSaúde!とグラスを合わせてみた。
そんなこんなで他愛もない話をしていると、ん?と思うフレーズが出現する。
『俺は昔パウメイラス(ブラジルのビッグクラブ)というチームでサッカーをしていたんだ。』
待て待て。年齢を聞いてみると明らかに僕の友人と世代が重なっている。試しに聞いてみた。
『●●を知らないか?コリンチャンス(パウメイラスのライバルチーム)で世代別代表にも入っていた選手なんだけど。』
そうするとブラジリアンらしくない落ち着いたトーンで話しをする彼の顔が急に興奮した顔つきに変わる。
『知っているも何も。幼い頃から切磋琢磨してきた親友さ!』
すぐさまブラジルの友人に2人の写真を撮って連絡したら、そちらも興奮した様子ですぐにリアクションが返ってきた。
『そいつは俺の憎き友人だ(笑)それより何で呑むなら呼んでくれないんだ!』
何が凄いって、地球の裏側にいるブラジルの友人の幼馴染と、群馬県の飲み屋で遭遇するなんて、誰が想像できる?っていう事。
まさにサッカーをしていたから巡り会えた奇跡の話。
思い返せば、繋がる繋がる。
サッカーボールを蹴る事で、サッカーを好きだという事だけで、普通の生活を送るだけでは出会うわけがない人達と繋がれた。外に出れば出るほど大切な友達や仲間が増えて、人生を常に支えてくれた。
そしてこの時代はインターネットがあるおかげで、いつ・どこにいても誰とでも繋がれる。年齢・性別・立場・国籍・宗教なににも捉われる事なく出会う事ができる。人生に必要な全てを与えてくれる。だからこそ次の時代を生きる子供達には、サッカーの素晴らしさを堪能して貰いたいし、スクールやクラブに通う子供達には、親御様に与えて貰ったそのチャンスを大切にして欲しい。きっと将来、仲間達が人生に彩りを与えてくれるから。
以上!お話おわりっ!
さ、ボール蹴りに行こう。